出版社内容情報
ネット的セカイが完成した今、ポジティヴな生き方はいかにして可能か。哲学・思想からサブカルまでを総動員、一度きりの人生と世界を肯定するための自己刷新本!
内容説明
オタク的感性が普遍化したゼロ年代、そして今、ネット的セカイが完成した。ポジティヴな「生き方」はいかにして可能か。情報科学からポップカルチャーまでを総動員、この世界と、一度きりの生を肯定するための哲学的「自己刷新」本。
目次
1日目 無限のセカイと有限のワタシ(世界の果て?;おたくからオタクへ)
2日目 タイムマシンにお願い(偶然について;運命について)
3日目 UNKNOWNMIX!(不可能世界論;未知との遭遇)
著者等紹介
佐々木敦[ササキアツシ]
1964年生まれ。批評家。音楽レーベルHEADZ主宰。雑誌『エクス・ポ』編集発行人。映画・音楽から文学・演劇・ダンス・思想など多分野にわたって批評活動を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
59
同著者の評論で感心し、調べると個人的興味に近い本があるのに気がつき借りる。世界とのつき合い方の自己啓発本。現在のネット社会での、世界の受け取り方の変化や、偶然と必然、運命の意味合いなど、著者の考察が続く。永井均や中島義道の哲学本を連想する内容だ。まったく気にしない、幸運な人には回りくどいことを言ってるだけにしか思えないだろうが、非哲学者の著者の実用本位の姿勢が非常に好ましく思えた。この単行本から追加した文を含めた完全版の新書が五年後に出ているようだ。そちらを手に入れる予定で今回はざっと目を通す。良書。2017/06/02
fishdeleuze
20
著者自ら前書きで「自己啓発的な」生き方の本と書いてあるように、運命論、時間論、世界(観)論についての本。緻密な論理性というよりは、口述に手を入れて作られた本であることも影響してか、読みやすくドライブ感のある文章で、著者が本当に言いたいことがまっすぐに伝わってくるような本だった。最終章、結論の、自由意志込みの決定論であり、だからこそ今ここの現実を肯定するという姿勢は、考え方についてはいろいろ思うところもあるが、おもしろく読めた。2017/06/14
サイバーパンツ
15
「今、ここ」をサヴァイヴするための最強の自己啓発本。内容は「無限」に近い「有限性」の情報に満ちた「世界(セカイ)」で、ひとはそのあまりの「不確実性」に絶望しているが、別にそんなものに耐えないで、いっそのこと「時間」も「運命」もあらかじめ全部決められたものだという「現実」を受け入れ(「最強の運命論」)、起きてしまった「過去」は肯定し、「未来」という「未知との遭遇」には期待し、その「未知との遭遇」に向かっている「今、ここ」を楽しめばいいじゃないかという感じ。2016/07/12
白義
14
これは早くも今月のベストかな。一言で言うなら究極の自己啓発、いや、存在啓発という感じだろうか。オタクから見た時代論あり、テクニカルな分析哲学の議論に鋭い文芸評論ありで、それら各論が今ある世界、日常を肯定していく、という一点で見事に収縮していく様が圧巻。可能世界や運命、偶然といった大文字の概念をしっかり検討して、それでもこの世界の肯定と享受を強く打ち出すというのは、健康でなおかつ強靭だ。しかも、著者は決して傲慢ではなく、柔軟で繊細ですらある。完全同意はしないが、部分部分にも共感できていい読書だった2012/02/03
おおかみ
8
『ニッポンの思想』の「あとがき」で予告されていたのが本書。この本で佐々木敦が論じるのは、人生であり運命であり世界(セカイ)であり、あまりのスケールの大きさに些かたじろぐ。しかしながら、コミックや演劇から哲学、経済学にまで及ぶ厖大な引用をもとに、我々が漠然と抱いている感覚を明快に言語化するその筆力はさすがである。難解ではあるが、それゆえに残り続ける部分が多い。2012/11/27