出版社内容情報
死すべき人間にとって言葉とは何であろうか。ハイデガーとヘーゲルをへめぐりつつ、現代を代表する思想家が紡ぐスリリングな論考。
内容説明
言葉が生起する“どこにもない場所”をめざして「言語活動」と「存在論」を架橋する論考。
目次
ダーザインと死
否定性の起源の問題
“無”と“~でない”
言葉―ダー‐ザイン、すなわち、“ダー”であること
否定性はダーザインにそれ自身の“ダー”からやってくる
無の場所の保持者としての人間
ヘーゲルとハイデガー
エレウシス
ヘーゲルと言い表しようのないもの
『精神現象学』の第一章における感覚的意識の清算〔ほか〕
著者等紹介
アガンベン,ジョルジョ[アガンベン,ジョルジョ][Agamben,Giorgio]
1942年ローマに生まれる。ヴェローナ大学哲学教授を経て、現在、ヴェネツィア建築大学美学教授
上村忠男[ウエムラタダオ]
1941年尼崎市に生まれる。現在、東京外国語大学名誉教授。学問論・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
19
『精神現象学』『存在と時間』二冊に含まれる代名詞の扱いに注目し、代名詞に指示行為と意味表現行為との切り替えを行う「シフター」の役割を見出す。平行して、動物の声でも言語活動でもない、その中間にある人間の〈声〉の領域が西洋の形而上学の流れににおいて死の概念と結びついていたことをひもときながら、言語活動と死を切り離して形而上学の強すぎる呪縛を解き放とうとする。その跳躍の踏切板となるのはアウグスティヌスの死語への言及。アクロバティックな論の展開が超刺激的で言語への興味が倍増した。何度でも読みたい。2017/08/28
zuckermen08
3
第七日目が圧巻。こう来たかーとうなってしまうほど見事な詩の読解。しかもそれまでの哲学とか言語学の議論がこの箇所を語るためだけにあったようにすら思えてしまうあたりが恐ろしい。シフターの話は必読。2015/01/10
HAL9777
0
第七日目のラスト10ページほどで、これまでのぐるぐると巡るような議論や疑問が、螺旋の中心へと向かうようにあるひとつの「驚き」へと回収されていくような感覚があった。それでいて、そのような円環運動は閉じることはなく無限の拡がりを、言語活動とその思考のうちに持っているのである。 そして第八日目には、その螺旋をこれまで思考されることのなかった次元へと無限の拡がりへと立ち戻らせていく。2023/09/03