内容説明
『坊っちゃん』『カラマーゾフの兄弟』『シャイニング』etc.etc.ジコチュー型から尻軽タイプまで、数々の傑作小説に登場する「ダメ男」たち。不朽の名作に、こんな楽しみ方があったとは!
目次
ないない尽くしのダメ男―フローベール『ボヴァリー夫人』
橋田壽賀子ドラマもまっ青なダメ男見本市―ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』
ガリ勉型世間知レベル0のダメ男―森鴎外『舞姫』
今回のまるでダメ男は意外なあの人―ジュール・ルナール『にんじん』
ライトモチーフ(繰り返し)型のダメ男―トーマス・マン『トニオ・クレーゲル』
子供っぽいジコチュー型のダメ男―夏目漱石『坊っちゃん』
自分の気持ちに正直すぎるダメ男―岩野泡鳴『毒薬を飲む女』
偽善的なダメ男―島崎藤村『新生』
気がつかない星人型のダメ男―近松秋江『黒髪』『狂乱』『霜凍る宵』
夢みる夢男でダメ男―フィッツジェラルド『グレート・ギャッツビー』〔ほか〕
著者等紹介
豊崎由美[トヨザキユミ]
1961年生まれのライター・書評家。『本の雑誌』『TV Bros.』など各種媒体で活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山田太郎
59
紹介してある本は全然趣味じゃないけど、読みたくなるので、たいしたもんだと思う。西村賢太読みたくなるすごい書評です。2014/06/10
harass
52
文学のだめ男をこよなく愛する著者による感想文(書評というにはあらすじネタばらしがあり批評というには主観が強い) 自分も何度も読んでる作品、『ボヴァリー夫人』『ガラスの動物園』などはそうそうそこなんやー、と要約巧者ぶりと豊崎節に唸ってしまった。まったく知らない作家や作品ではへえと読む気になるのだが、あらすじを先に読むのにはちょっと抵抗がある。まあネタばらしで価値が半減する種類の小説ではないのは分かるんだが。読まず嫌いな作品を読んでみようかと感じれたらいいのかという本。自分には『グレートギャッピー』か。2016/07/23
miyu
32
重い存在感の本が続いたので、一服の清涼剤になればとチョイス。いわゆる名作を取り上げているので、若かりし頃に一度は手にしたことがあるものが多かった(特に翻訳もの)この人の語りにかかると、古今東西のあまたの名作も「ま、読まなくてもいっか♪」みたいな気になってしまったりする。坊っちゃん、舞姫、新生…なんて、この書評読んだ後なら絶対に手にしなかっただろう。そういう意味では偏見の無い子供時分に読んどいてよかった。あ、でもこれってもしかして既に名作とは言えないのか?それにしても呆れるほどヘタレ男子ばっかで笑える。2014/09/13
スノーマン
29
期待通り面白かった〜!私の読んだのは坊ちゃんくらいで、あとはほとんど知らない話ばかり。にもかかわらず、すごい勢いでダメダメ部分に注目し爆笑させる力とすかさず入るツッコミの威力、さすがです。名作だけあってダメ男のダメさ加減も神がかり的なものを感じるし、作家の筆力や自爆力があっぱれ。文学とダメ男は切り離せないということを改めて実感。西村賢太、初チャレンジの日も近いかも。2014/06/15
瀧ながれ
24
「ダメ男」に注目して古今東西の小説を語る一冊。本文を抜き書きして、いかにダメ男かをこれでもかと解説してくれる(オチバレもあり)ので、ダメ男に愛を感じられないわたしは、おもしろかったけど、もうこれらの小説は読まなくていいなあと思いました。…ダメ男たちが「女」をどう考えているのかを立て続けに並べられると、腹立たしいを通り越して笑えてきますな。2014/04/20