三人称の発見まで

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三人称の発見まで

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  • サイズ B6判/ページ数 269p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784480823113
  • NDC分類 910.25
  • Cコード C1095

内容説明

作者論、物語論、言語学などの知見を駆使して、日本文学史上の「近代」に「人称」「語り」の面から光を当てる画期的文学論。

目次

第1章 語りと人称
第2章 作者と人称
第3章 散文と人称
第4章 思想と人称
第5章 洋学と人称
第6章 言文一致と人称
第7章 「た」と人称

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

masasamm

2
今は当たり前のように感じている日本の近代小説の文体は、夏目漱石によって安定してきた。それは日本の近代文学は語り手をどこに置くのかということがテーマだった。語り手の置き場所を安定させるためには「た」という文末助詞が重要な役割を果たすことになる。そしてそれを発明したのは二葉亭四迷だったことも明らかになる。「た」表現の安定とともに、三人称的な記述が安定してくる。逆説的に聞こえるかもしれないが、近代小説は文体ができることによって成立したものだといことがわかる名著である。ただし江戸文学の引用が多いので読みにくい。2020/06/06

masasamm

1
再読しました。再読しても読み込めない部分はあるのですが、かなり整理されたのは事実です。やはり「た」がカギになります。そこを掘り下げたいと思います。2023/08/28

masasamm

1
再読しました。少しずつわかってきましたが、逆に小説における三人称や一人称はもう少し別次元の話なのではないかという気もしてきました。つまり小説の「語り手」の発明は別次元のことなのではないかということです。近代小説は「語り手」の発見によって生まれたのではないでしょうか。それを考えさせられる刺激的な本です。2022/09/03

Shosei

1
日本語の三人称は言文一致運動によって誕生したということを、江戸時代の多くの文章を例に上げて明らかにしています。確かに近松の浄瑠璃は太夫が「語って」話を進めますが、これを西欧文学の「地」の文には素直に置き換えられません。明治に入って膨大な西洋語を翻訳に置き換える過程で三人称が必要とされ、江戸時代の助動詞「た」が、人称で規定されて「上から降りてきて、現在位置で踏みとどまった」歴史は刺激的です。今の日本語は、外の多くの言語と混交しながら変容し進化してきたのだと改めて認識しました。2020/04/18

きつね

1
近世文学の話が多いので、そちらの文脈から考えたい人にはいいのかも? ややトリビアルな議論が多いように感じた。僕の関心とは異なるため飛ばし読みでゴメンナサイ。「三人称」以前についての本のため、三人称について何かがわかるわけではなかった。「以前」「以後」に通底する連続性が果してどれだけあるのかを考えるのは読者の取り分か。2012/12/19

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