感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クリママ
30
「泥の河」「蛍川」の2作。「泥の河」終戦の5年後。大阪の安治川の川岸に立つ小さなうどん屋の少年。そして、廓舟の姉弟。数ページでその泥の河の流れのような小説の地の暑さと戦後の情景を感じる。あぁ、すごい。どうして、いままで宮本輝を読んでこなかったのだろう。まだ、間に合うのか。2017/10/05
やっちゃん
3
数十年ぶりの再読。[泥の河]30年代の大阪。河畔に住む小2の信雄と同い年の喜一と姉・銀子の交友物語。姉弟は川に浮かぶ廓船で暮らし不登校。貧しく野蛮な弟と友達になった信雄。哀しげな雰囲気の文章と幼い男子の心情を当時の自分はどう受け止めていただろう。束の間の時を経ての別れを描いた作品。[蛍川] 富山を舞台に思春期の少年の家庭や友情、淡い恋心と、川の上流に降る様に舞う蛍の大群の乱舞を描いた芥川賞作。「大人になっても、ほんとの友だちでおるちゃ」と言った関根君の胸の内や、子を亡くした父親の哀しみに寄り添う。 2018/01/19
MAKII FRUー
2
泥の川螢川がおさめられている。両方とも哀愁をおびた生を描いている。
Livroschu
1
宮本輝の川には境界の意味があるのだろうか。父と自分、母と自分、好きな人と自分の関係の境界を越えていく。川から戻ると少し大人になる。2018/04/21
あ
1
「泥の河」子どもが必ずといっていいほど抱えている奇怪なものが、大人と対比されることでそこに浮かび上がる。哀しい。苦しい。虚しい。(評A/60分)「螢川」終盤の表現は何度読んでも素晴らしい。感銘を受けメモに残したほどである。(評S/60分)2014/01/17