社会は防衛しなければならない―コレージュ・ド・フランス講義一九七五‐七六年度

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  • サイズ A5判/ページ数 304,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784480790460
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C1310

内容説明

20世紀最大の思想家ミシェル・フーコーの、“知”のエスタブリッシュメントの頂点に立つコレージュ・ド・フランスにおける講義(講座名;思考諸体系の歴史)の貴重な記録。1971年から死の直前の84年6月までの伝説的な講義では、壮大な思考の全容が各年度の尖鋭なテーマに沿ってスリリングに明かされてゆく。

目次

講義とはなにか?
従属化された知
闘争についての歴史的知、系譜学と学的言説
系譜学の争点としての権力
権力についての法的理解と経済的理解
抑圧としての権力、戦争としての権力
クラウゼヴィッツの箴言の逆転
戦争と権力
哲学、および権力の限界
司法と王権〔ほか〕

著者等紹介

石田英敬[イシダヒデタカ]
東京大学大学院情報学環教授。1953年生まれ。東京大学文学部卒。2001年よりパリ国際哲学コレージュ・プログラム・ディレクター

小野正嗣[オノマサツグ]
明治学院大学文学部専任講師。1970年生まれ。東京大学教養学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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34

23
①この年の講義からフーコーの関心は規律権力から生政治の方へと転換したと言われるが、一連の生政治を扱った講義を読むことで、フーコーの同時代への関心が理解できる。つまりフーコーの考古学の批判的目論見が、あからさまな敵よりはむしろ左派陣営の内的な「しこり」へと向けられていること。それは言ってみるならば左派が「見ないようにしていること」であるから、フーコーの批判が精緻になればなるほど、左派の戦略は袋小路に陥ってしまうかのように見える。しかし今日ではフーコーの鋭敏さなくしても左派の袋小路はだれの眼にもあきらかだ。→2017/03/25

hitotoseno

9
これまで謎に包まれてきた『監獄の誕生』以後フーコーが考えていたこと、というブラックボックスをいくらか明瞭にしてくれる書物。17世紀から19世紀にかけて起こった事をまずは歴史的観点から、次に政治的観点から、更には社会学的観点から……という具合に畳みかけていくフーコー流の語り口は講義においても維持されている。しかし、語り下ろす際のフーコーの口調は粗っぽい。皮肉、脱線、錯綜、時には性急だと思わざるをえない部分などはかえって生き生きとした脈動を感じさせ、この巨大な思想家の思考を覗いている気分になる。2016/12/25

ヒナコ

7
1975-76年にコレージュ・ド・フランスで行われたフーコーの講義録。主に、戦争と秩序の関係が議論されている。 本講義録を読んだのは、フーコーの「人種主義」を調べるためだった。「人種主義」が登場するまでにかなり長い前段階があり、正直、読むのは難儀した。しかし、フーコーによる近世の戦争の言説の分析も、読み進むにつれて理解が深まり、学ぶことも多かった。→2021/12/08

Mealla0v0

2
フーコーの転換期とも言える時期の講義録。前期の業績の再定義と、後期フーコーへと至る試行錯誤が垣間見られる。冒頭、クラウゼヴィッツを転倒させ「政治とは他の手段による戦争の継続」とし、戦争論を開始する。曰く、戦争とは、人種間戦争である、と。戦争の言説を織りなす人種主義がやがて国家と結びつき、権力は「殺す」ものから「生かす」ものへと変容する。生権力は規律を司る解剖政治と調整を司る生政治のことだが、後者は人口というマスを対象とする。▼興味深いのは、生政治の転落、原子力権力。生かす権力が生を死に晒すこと。2017/02/01

鴨長石

1
クラウゼヴィッツを反転させた「政治とは別形態による戦争の継続である」という直観が全編を貫く。これに従って英仏の歴史を辿りながらその権力闘争を紐解いていく。恥ずかしながら歴史に疎く、なかなか実感をもつのは難しい。しかし最終章で一気に目が覚めた。個々人への規律的権力に対し、「人口」(=種としての人類)への生権力という発想はあまりにクリティカルで、現代の権力に関する問題はほぼこのフレームで考えられるだろう。驚くべきことに疫病への対応もこの視点からの言及があり、今のコロナ禍でも大いに参照されるべきだと思う。2021/01/23

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