精神医学の権力―コレージュ・ド・フランス講義 一九七三‐七四年度

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  • サイズ A5判/ページ数 469,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784480790446
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C1310

内容説明

20世紀最大の思想家ミシェル・フーコーの、「知」のエスタブリッシュメントの頂点に立つコレージュ・ド・フランスにおける講義(講座名;思考諸体系の歴史)の貴重な記録。1971年から死の直前の84年6月までの伝説的な講義では、壮大な思考の全容が各年度の尖鋭なテーマに沿ってスリリングに明かされてゆく。ピネルやエスキロールによる19世紀前半の実践から、ルーレなどの「道徳療法」の局面を経て、神経学の登場そしてシャルコーの舞台へと至るまでの精神医学の歴史的変容を、そこに働く「権力のテクノロジー」に焦点を定めつつあざやかに分析する。

目次

一九七三年十一月七日
一九七三年十一月十四日
一九七三年十一月二十一日
一九七三年十一月二十八日
一九七三年十二月五日
一九七三年十二月十二日
一九七三年十二月十九日
一九七四年一月九日
一九七四年一月十六日
一九七四年一月二十三日
一九七四年一月三十日
一九七四年二月六日

著者等紹介

慎改康之[シンカイヤスユキ]
現在、明治学院大学助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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またの名

9
精神を病んで監禁されたことに「余は王なるぞ!」と憤慨する英王ジョージ三世に医師が「もう王じゃないですよ」と言い聞かせるコント仕立ての出来事(史実)が、権力の配置が転換したことの象徴だとフーコーは解釈する。頂点に君臨し下々に支配力をふるう君主権力から、医師の指導と風貌・看護人の世話と監視・雑用係の役割と存在のすみずみに至るまで精神医学の名で作動する規律権力へと移行した歴史の非連続性を指摘し、自身の研究も表象分析から権力論へ変わりつつある時期の思考がクリアな言葉で語られる講義録。『監獄の誕生』の最良の副読本。2015/11/08

Mealla0v0

2
『狂気の歴史』『臨床医学の誕生』を『監獄の誕生』の方面から捉えた講義と言えるだろう。権力論の観点から狂気を分析しているのだが、本書で最も注目すべきは、誰もが目につく「精神病院の規律権力」ではなく、「医師/狂人の主権権力」の方だ。フーコーがここで描き出しているのは、規律化の為に身体対身体の闘争によって、医師の主権が狂人の主権を捻じ伏せる必要がまず初めにあった点を見なければならない。その上で、規律権力をどう捉えれるか、なのだ。フーキアンが見逃しがちな主権権力の議論をフーコーがしていたことがよく見えるだろう。2017/11/07

madofrapunzel

2
★★★★★ この講義シリーズ、いいですね! それにしても、「精神医学の権力」、これは素晴らしかったです。フーコーによる歴史の取り上げは少し恣意的かもしれませんが、それでも精密。”精神医学(反・狂気)”と”権力”という、フーコーの中でもかなり深いテーマの結節点とも言っていいと思います。読みやすかったし、文句無しです。2011/09/25

masanari

1
後半の狂人の治療に関する講義はやや退屈に感じたが前半の規律権力に関する分析は『監獄の誕生』の入門書としても面白い。私たちの生活に権力の「正常化」が作用していく過程の記述は鳥肌が立った。2019/05/25

まつゆう

1
臨床医学の誕生だったろうか、あれを読んでフーコーの言い回しに食当たりを起こしていたのだが、これを読むと嗚呼何て読みやすいのだろう!とびっくり。個人的にはモラルトリートメントの部分が気になるところである。2016/10/16

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