内容説明
外交とは何か、政治とは何か。外交使節として国外へ出向くこと四十三度、秀れた外交官の才幹と手腕をかわれたマキァヴェッリの卓抜な使節報告。本書をもって初めて『君主論』の背景と意味が理解可能となる。
目次
使節報告書(フランス王宮廷よりの報告(1500年7月‐11月)
ヴァレンティーノ公宮廷よりの報告(1502年10月‐1503年1月))
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
8
マキァヴェッリが文筆家として知られるのは追放後であり、彼の遺した文書の過半数は政府報告書の類い。だけども最近まであまり研究されなかった。史料としても第一級であるが、哲学者と歴史家の分業の狭間に落ちてしまったらしい。本書には1500年のフランス宮廷、1502年のチェーザレ・ボルジア宮廷からの報告のみ。王により意志が統一される新し国家に比して、商人の共和国フィレンツェでは国家の情報収集、通信、意思形成体制がお粗末で、わが書記官どのは十分な方針さえ与えられずに時間稼ぎさせられる。この苦い経験が君主論につながる。2024/02/21