内容説明
旅の記録と評論『北国紀行』、一年の行事の考察『年中行事』、佐渡を描いた作品『北小浦民俗誌』、国語政策批判の書『標準語と方言』、批評・序跋・解題集『老読書歴』。
目次
北国紀行
年中行事
北小浦民俗誌
標準語と方言
老読書歴
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
4
『北小浦民俗誌』は柳田が書いた唯一の民俗誌であるが、それは亡くなった弟子が収集したデータを総合しようとしたのである。最初の漁法の発展は本人も満足できたようであるが、その後はかなり怪しい。現地調査で得られたデータと柳田が語りたい歴史の間にかなりの懸隔がある。要するにたくさんの個を一般化して普遍に至るという帰納法がうまくいかなかった。それはデータ不足もあるんだが、やはり総合には観察者の主観的なものが入り込むわけで、ただ機械的にデータを集めるだけでは全体にはならない。柳田の狭い意味での民俗学の業績の限界が見える2018/10/22