ちくまプリマー新書
翻訳教室―はじめの一歩

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  • サイズ 新書判/ページ数 199p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480688842
  • NDC分類 801.7
  • Cコード C0280

出版社内容情報

「嵐が丘」の古典新訳で知られる著者が翻訳の極意を伝授。原文に何を読み、それをどう表現するか。NHK「課外授業 ようこそ先輩」の授業を題材にした感動の翻訳論。

内容説明

翻訳は、ことばの置き換えではない。だから「正しい訳」なんて、ない。他者のことばを生き、当事者となってそれを自分のことばで実践(または再現)する。それが翻訳だ。大きな感動を呼んだNHK「課外授業ようこそ先輩」の授業を題材に、翻訳のはじめの一歩=エッセンスを語る。

目次

序章 「翻訳教室 はじめの一歩」のための一歩
第1章 他者になりきる―想像力の壁をゆるがそう
第2章 言葉には解釈が入る―想像力の部屋を広げる準備体操
第3章 訳すことは読むこと―想像力の壁を打ち破ろう
第4章 世界は言葉でできている
第5章 何を訳すか、それは翻訳者が引き受ける

著者等紹介

鴻巣友季子[コウノスユキコ]
東京生まれ。翻訳家。2003年エミリー・ブロンテ『嵐が丘』新訳(新潮文庫)で注目され、また09年には世界文学全集(河出書房新社)でヴァージニア・ウルフ「灯台へ」を新訳し評判となる。また、文芸評論家、エッセイストとしても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

岡本正行

78
翻訳も、なるほどと感心する本、なにか変だ、違うと思う本、専門家、それもかなりのハイレベルなのに、なぜ、これがそれほど世界的なのかと思ってしまう本もある。外国の文章を日本の文章として、日本人に理解と共感を得られるものにする。ものすごく難しいこと。少しでも実現しようとする著者の意図が伝わってくる。翻訳をいま改めて、その困難さを理解した。外国語を理解し、日本語にも熟達し、その文書の著者の意図を表す。ほんとうに難しい作業だ。試しに小学生にその難しさを実感させたのも、いいことだ。それで翻訳がわかったような気がした。2024/02/26

のんぴ

33
小学校の特別授業で翻訳について教えた鴻巣友季子さん。一緒に絵本を訳した生徒さんは貴重な経験をしましたね。自分とは違う人(生物、無機物)を理解するためには、自分の殻を破って、その中に入り込む。ベースに語学力があるのはもちろん、文化や伝統、他者の価値観を吸収して、表現するセンスが卓越している。根っこにあるのは無類の読者好き。もっと本を読みたいから英語で書かれた本も読む。私も小さい頃から翻訳モノ好きだったけど、そこまで深く能動的に考える読書はしてこなかったなぁ。2021/01/08

佐島楓

28
原文に合わせようとすると直訳になってしまい、硬い日本語になってしまうのが英文和訳の悩みだったけれど、著者の「正解がない以上は、誤答というものもない」という一文に励まされました。日本語はもともと幅のある言語なのだから、柔軟に、センスのある、意味の通る和訳ができるように練習しようと思います。2014/08/17

あいくん

16
☆☆☆☆鴻巣友季子さんは翻訳家ですが、2012年にNHKテレビで放送された「ようこそ先輩課外授業」の体験をもとにした本です。東京の小学校6年生と鴻巣さんとのやりとりが本に取り入れられています。以前は英語は中学校から習っていましたが、いまは小学校5年から必修になっています。翻訳は他言語を自分たちのことばに移しかえることだと思われていますが、翻訳するのには原文をよく読むことが必要です。訳者とはまずは読者です。翻訳とは深い読書のことです。よく読むことができれば、よく訳せます。 2020/01/24

Nobu A

14
鴻巣友季子著書2冊目。頁を捲って目に飛び込んできたものに驚いた。○○様と著者直筆サインと感謝が綴られていた。名前は伏せておくが、現役翻訳家への献本。売っていいの?知らずに中古本を購入して複雑な気持ちに。さて、本著は小6生に行った翻訳教室を書籍化。前著と被る箇所もあるが、筆者が考える翻訳の本質や翻訳を通して見える世界等にも触れ、興味深い内容。ただ、著者とのやり取りは本当に小6なのかと思ってしまう。「くぬぎ」や「首を長くして」等は彼らの表現?一方で、幼少期に能動的に読む重要性を学べる機会は貴重で羨ましく思う。2021/01/04

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