• ポイントキャンペーン

ちくまプリマー新書
時をこえる仏像―修復師の仕事

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 168,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480688743
  • NDC分類 718.3
  • Cコード C0271

出版社内容情報

美術館とお寺では同じように壊れた仏像でも直し方が全く違うのは? 修復過程に見えてくる仏像の秘密とは? 等々。仏像修復師だからこそ書ける異色の仏像入門。

内容説明

ほとんどが木造ゆえに、数百年も経てば、必ず壊れてくる仏像。そういった仏像の修復の現場を案内しながらだからこそ知り得る少し変わった、仏像の見方を紹介。観て・触れて・解体して・直して・考えた仏像入門。

目次

第1章 仏像ってなに?(すべてはお釈迦様から始まった;仏を組織で考えよう;仏像同士はチームを組んで働いている;異なる経営理念を持つ如来;仏像の姿について;人の世を映す仏像)
第2章 修復―どうなおすのか(まずは全身の健康診断をしよう;修復、その前に。仏の魂はどうするか;仏像を解体する;木材が腐っていたらどうするか;表面の彩色や漆層のはなし;なくなった部位はどうするか;目の存在感をどう演出するか;仏像の非破壊検査;修理が大変な像;元の姿に思いを馳せる)
第3章 仏像の修復とはどんな仕事?(修理と修復は少し違う;仏像は実用品?それとも文化遺産?;修理で大切なこと;一〇〇年後をイメージしながら修理する;仏像はどの程度の年月で壊れるのか;神社から仏像は、ふしぎじゃない;昔々、壊れた仏像を誰が修復したか?;修理者は芸術家ではない)
第4章 この仕事が好きな理由(私のこと;時を超えてつながる仏像と人;はるか昔の人を身近に感じる瞬間;次世代につなぐバトンリレー;過去に思いを馳せる;人の世と祈りと仏像と)
付録 修理作業報告書例:弘行寺阿弥陀如来立像

著者等紹介

飯泉太子宗[イイズミトシタカ]
1974年生まれ。仏像修復家。東北芸術工科大学、芸術学部(文化財保存)卒業。1997‐2003年、(財)美術院国宝修理所に勤務。国宝、重要文化財の仏像の修復に携わる。2003‐04年、吉備文化財修復所に勤務。退職後、夫婦で世界一周の旅へ。およそ1年半の間、世界中の文化遺産を見て歩く。2006年帰国。2007年、特定非営利活動法人「古仏修復工房」を設立。関東を中心に仏像・文化財修復を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

pino

89
著者は仏像修復家として国宝などの修復に携わった経験もある。当事者でないと知り得ない経験をもとに、独自の目線で仏像のあれこれを綴っている。例えば、仏像の彩色の下地になにが使われているかによって、創られた時代が分る事や、過去に行われた修復の状態から、当時の経済状況や修復者の気質などがうかがい知れると言う。仏像の修復の前には魂を抜く話は、なるほどだった。仏像の胎内の墨書きには、修復者の名が記される。著者には数百年の後、自分の名が発見される楽しみがある。修復家は仏像を引き継いでいく仕事。時をこえるロマンがある。2012/09/05

calaf

12
なるほど、修理と修復は違うのか...仏像というと修復が思い浮かんでいたのですが、これは国立文化財等が制定された極々最近の事。昔はほとんど全てが修理(つまり仏像の本来の役割である偶像崇拝対象となるように奇麗に仕上げる)だったらしい...仏教を会社組織に例える考え方も分かりやすくて面白かったです。2012/01/16

Sleipnirie

3
ほとんど木で作られてるために、100年、200年も経つと壊れてくる仏像の修復をもとに仏像と人間の関係を考える。基本的な分類から始まり、基本的な作り方や修復方法などを経験談を交えながら解説。連綿と続くゆえに、ずっと前に修復された箇所を見て、どんな人がやったのか想像するのは面白いとか。仏像は元々金ピカな姿であり、今みたく古色蒼然な色合いではないとか、宗派が変わると(または一部の仏師の考えで)、一部手を加えられるとか、時代によって姿を変えられてるのは驚いた。美術的な物か信仰対象かで修復の仕方が変わるというのも。2014/09/12

壱萬弐仟縁

3
天平時代、平安時代、鎌倉時代のスケッチがある(37ページ)をみて、どのな仏像に共感できるか、チェックしても面白い。評者は、鎌倉時代の理知的な雰囲気というのが気に入った。また、修理と修復は違うという(101ページ)。修理は「できるだけ新品に」、修復は「古い箇所にこそ価値」という。評者は修復しつつ修理を、と欲張ったとらえ方がいいのでは、と思ったが、いかがであろうか。伝統の再創造とは、内発的発展論者の鶴見和子氏の発想だった。仏像も信者の象徴的存在であるので、チェーンソーアートの作品がその先駆的存在に思えた。2012/07/29

takao

2
ふむ2024/04/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4503564
  • ご注意事項