出版社内容情報
建築物は、どこにでもある身近なものだが、改めて「建築とは何か?」と考えてみるとこれがムズカシイ。ヨーロッパと日本の建築史をひもときながらその本質に迫る本。
内容説明
建築ってなんだろう?日本とヨーロッパでの、ダイナミックな進化の歴史をたどり、その本質に迫る。
目次
第1章 建築とは何か(建築は長持ち;思想と社会を映す鏡 ほか)
第2章 人類最初の建築(火から始まる;内部空間の誕生 ほか)
第3章 ヨーロッパ建築のはじまり(始まりは古代ギリシャ;最初の建築ルール ほか)
第4章 ヨーロッパ建築の成熟と死(ロマネスク様式の誕生;ビザンチンVSロマネスク ほか)
第5章 日本の住宅(住宅とはなにか?;竪穴式住居にはじまる ほか)
著者等紹介
藤森照信[フジモリテルノブ]
1946年長野県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻は近代建築、都市計画史。東京大学名誉教授。現在、工学院大学教授。全国各地で近代建築の調査、研究にあたっている。86年、赤瀬川原平や南伸坊らと「路上観察学会」を発足。91年“神長官守矢史料館”で建築家としてデビュー。97年には“赤瀬川原平邸(ニラ・ハウス)”で日本芸術大賞、2001年“熊本県立農業大学校学生寮”で日本建築学会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
9
19世紀までの通史的なまとめ。教科書的でないくだけた語り口で、様式のポイントや影響関係を述べつつ「建築とはなにか」という大きな問いに対する答えを提示してくれる。ある程度発展すると過去の再生が起こり、飽和して歴史主義に陥ってしまう、という感じ。「建築は記憶と美の器。民家は生活と無意識の器」」。住宅が中心の日本編も◯。2015/06/26
rinakko
6
建築とは何か──。神の住まいとしてはヨーロッパ建築史をたどることで、人の住まいとしては日本の住宅の変遷に着目することで語られる。例えば、“民家” は神殿や教会とは違い、その時代の普通の人々の無意識の世界と如何に深くつながっているか…という話は、私には意外な観点でとても面白かった。 “人は、自分の時間的アイデンティティを、目に映るものが変らないことで確認している。” “建築は記憶と美の器。民家は生活と無意識の器。”2023/12/13
ネムル
5
再読。前半は同新書『人類と建築の歴史』の復習で、半ばからはギリシャ以降のオーソドックスな建築史。ここでも建物の内観と外観の関係についてこだわる。ただしギリシャ以前の内観→外観という流れでなく、外観(モノ)→内観(空間)に変わり、建築が死を迎えるという見方。平易で良い建築入門。2015/06/09
オサム兄ぃ
5
この半年、縁のなかった建築関係者と組んず解ぐれつ悪戦苦闘の日々を過ごした。お互い仕事なのだから同じ方向に進んでいるはずなのに、今一つ言葉を共有できず、パシッと彼らを引き締める一言が出てこなかった。長く関わった情報分野から見ると、彼らの管理手法が祖型であると直ぐに分かるが、いかにも緻密さに欠ける上、部外者からは見えない独特のヒエラルキーが支配していて、これがまた全体の効率を削いでいるように思えてイラつかせてくれる。行き詰ったら良い教科書で歴史に学べ、というわけで手に取った一冊。2014/12/29
qeise
4
とにかく最高。以下、特徴を列挙すると、第一に、明快な解説。第二に、ポイントを押さえた通史。第三に、細部よりも全体の明示があげられる。時期は、人類史における先史時代から青銅器時代、西洋建築におけるビザンティン様式から歴史主義、日本建築における竪穴式住居から数寄屋建築に及び、また学問ジャンルは建築学のみならず歴史学、人類学の知見にまたがる。そして、著者なりに「建築とは何か」について、正面から答えを提出している。あとがきを読む限り、モダニズム以降の建築については続編が出版されそうなので、今から楽しみにしている。2011/10/25