内容説明
自分とは何か。なぜ宗教は生まれたのか。人を殺してはいけない理由は何か。何となく幸福じゃないと感じるのはなぜなのか…。読めば聡明になる、悩みや疑問に対する哲学的考え方。
目次
1 自分とは何者か(神経症―私はなぜ哲学者になったか;欲望論哲学の出発点)
2 世界はどうなっているか(宗教のテーブルと哲学のテーブル;哲学のテーマ―「神」と「形而上学」について;宗教と哲学の弱点)
3 なぜルールがあるのか(大貧民ゲームで近代社会を体験する)
4 幸福とは何か(ガウェインの結婚―「自分の意志を持つこと」)
著者等紹介
竹田青嗣[タケダセイジ]
1947年、大阪生まれ。在日韓国人二世。早稲田大学政治経済学部卒業。現在、早稲田大学国際教養学部教授。哲学・文芸批評(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tamami
53
読友さんの感想を読み、書棚に埃を被っていたのを引っ張り出して、初読?の本書をサクサクと読み進めたのですが、終わりの方へ来てサイドラインが引いてあるのを発見し、ガーンとなりました。読んであったんだ!(2009年刊行の)本書の記憶はかけらもありませんでしたが、著者が強調している物事の本質を見取ること、自分の意志を持つこと等々は、ごく部分的にせよ自分のこの10年余の生き方に反映しているのではないかと思ったことでした。ただ本書のレベルでもさすがに中学生には難しいのではないかとも思います。いや、後生畏るべしかも。2021/09/20
禿童子
44
竹田青嗣の著書は何冊か読んでいるので、現象学と欲望論についての記述はすんなり読めた。中学生向けという看板にしては中身は高尚。大貧民ゲームはよく分からないけどトランプの大富豪と同じか?ただ、アーサー王伝説の「ガウェインの結婚」という挿話は、私にもよくわかった。すべての女性が一番望むものが「自分の意志を持つこと」であるのは今も昔も変わらない。ただ、自分の意志を持つことは男女関係なく自由に人生を生きるために必要。「自分の幸福の条件を、才能や運に委ねるのではなく、自分の「自由の条件」を考え、作り直す」ということ。2021/09/23
SOHSA
36
《購入本》タイトルのどおり、中学生からでも読めるテキストだが、大人にとっても十分読みごたえのある内容だ。宗教と哲学の違い、社会構造の読み解き、自己の欲望の作り直し(=自分の意志を持つこと)。どれもなかなか興味深く面白い。哲学の一番の問題は、著者も言っているように、言葉の難解性だ。宗教は誰にでも理解可能な物語を通して人にその本旨を了解させるが、哲学はその思想を直接、言語で表現しようとする。それは一見オープンソースでだれにでも批判を許すけれども、結果的には専門的であるいは自分だけしか使わない語句を(→)2014/09/21
井月 奎(いづき けい)
33
私は哲学書を読むと「あれれ?」となることが多いのです。哲学の深さと難解さが私を煙にまくのです。で、この本の登場ですが、いいですこの本。科学と宗教、哲学の違いを分かりやすく書き、現状の思考は社会通念の刷り込みではないのか?という問いかけをしてきて、自分の思考の大切さを説き、哲学の理解への足掛かりをたくさん用意してあります。哲学の海に投げ出された私の方位磁石のごとき本です。ただし、「中学生からの」と言っている割にはけっこう難しいです。それは私のおつむの問題ですって?ハイそこのあなた、真実は人を傷つけますよ。2016/04/13
Teppei Tsujiyama
29
哲学入門書として優秀な本だと思いました▼面白かったポイントは小学生に「本質」を教えるのに大貧民を使う授業をしたこと。著者の主張でもある「一般欲望」をよく学べる題材だと思う▼社会を学ぶためにルール改編する妄想がふくらんだ。大貧民にはサブルールが多い。例えばジャックリバースとか。これらのルールをどれを採用し、どれを採用しないかを政府が決める。その政府を投票で決める。票は各自、富豪貧民の別なく一人一票にする。▼大富豪は買収?革命時に政府も転覆するのでサブルールも変える?▼そんな妄想してたら、本の中身を忘れた。2015/05/01