出版社内容情報
最前線の作家であり希代のアンソロジスト筒井康隆が日本SFの凄さを凝縮して示したシリーズ最終巻。編者自身による40年後のあとがきを付す。
内容説明
“70年代日本SFベスト集成”シリーズは1975年度版をもって終わる。力衰えぬ巨匠から、有力新人の登場。ジャンルの浸透と拡散。新しい挑戦。日本SFのピークのひとつとして間違いないこの時期の傑作を、たしかな鑑賞眼と斬新な視点で選んだのは、自身、最前線の作家であった筒井康隆である。これらの作品群を外して日本文学史を書くことはできない。
著者等紹介
筒井康隆[ツツイヤスタカ]
1934年生まれ。同志社大学文学部卒業。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぜんこう
14
既読やったけど、小松左京「ヴォミーサ」、筒井康隆「メタモルフォセス群島」、堀晃「暗黒星団」などが良かった。半村良「ボール箱」も面白かった。70年代がこの巻で終わるのは寂しい。2015/07/30
くさてる
10
ジャンルの浸透と拡散という表現がふさわしい、70年代日本SFべスト集成最終巻。どれをとっても一筋縄でいかない作品揃いです。そのなかでも、奇想というか奇妙というかどうにも表現しがたい設定、なのに素晴らしく官能的で落ち着かない後味が残る半村良「ボール箱」、発表当時の世相のことは知りませんが、現代日本で読み返すと身に迫るようなリアリティがある、かんべむさし「サイコロ特攻隊」のニ作がとくに印象的でした。2015/09/12
ざび
6
1975年にもなるともはやSFという範疇から外れはじめてきた。しかし、相変わらず星新一と小松左京は群を抜いている。そして、筒井康隆氏のメタモルフォセス群島は、私も年輪を重ねたおかげで、その作品の偉大さを初めて理解できたと思う。2015/07/22
F4ふぁんとむ
4
後半の怒涛のラインナップは無敵。捨て曲なし。どれも再読だが、それでも楽しめる。いい時代だった。2020/06/03
オシャレ泥棒
4
分かっていたがこの巻で終わりかぁ…。「テレビジョン」アマチュア作品とのこと。今では言い尽くされたテーマながら短い中できちんとテレビのくだらなさが表現されている。本当にこんな流れが存在するかもしれないことが恐ろしい。「ボール箱」ユーモラスな設定ながら少しエロチックで哀愁を感じる。「重要な部分」既読。「ブラック・ジャック」形骸化しがちな「命の重さ」という言葉に込められた真理を浮き上がらせる対照的な二話。しかしSFなのか…?(コメントへ続く)2015/06/23