出版社内容情報
数学の才能に富んだ一庶民が日清・日露、太平洋戦争と激動の時代を懸命に生き抜く姿を通して、近代日本の哀歓と功罪を描くノンフィクション・ノベル。
内容説明
ある新聞の片隅に、「ナゾの『フェルマー定理』を解く」という記事が掲載された。百一歳の老人が三十六年を費やして、その謎に挑んだというのである。記事によれば、彼は日清・日露を召集兵として戦い、その後は中学教師になり、1930年には村長も務めた。彼は晩年を、なぜ一見奇矯な試みに捧げたのか。数学の才能に恵まれた一庶民が明治・大正・昭和を懸命に生き抜く姿を通して、近代日本の哀歓と功罪を描くノンフィクション・ノベル。
目次
1 出会いのとき
2 清国との戦闘で…
3 庶民の小節
4 数学狂の村長
5 冷めた観察者
6 孤影の営み
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年、北海道生まれ。同志社大学文学部卒業。日本近代史、とくに昭和史の実証的研究を志し、歴史の中に埋もれた事件・人物のルポルタージュを心がける。個人誌「昭和史講座」を中心とする一連の昭和史研究で菊池寛賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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