出版社内容情報
インド更紗、沖縄の紅型などから、アジアから日本への文化の流れをも語る。着物、布地のカラ―写真、着こなしについてのコラムも収録。
内容説明
着物の布には、風土の空気が凝縮している。インドの絣、更紗。ブータンとの琉球の花織。東南アジアの縞。江戸時代、インドを始めとする南アジアから、東南アジアを経て日本に渡って来た布の数々。12カ月の季節感に合う着物を見立てながら、上記の着物や、家族から受け継がれてきた着物を思い出とともに紹介する。自分らしく着こなすためのコラム12本も収録。カラー版。
目次
一月 謡初―宝尽くしの父の帯
二月 雨水―アジアの風
三月 貝寄風―ひとめぼれ
四月 花曇り―桜の生命をまとう
五月 立夏の空―江戸からインドへ
六月 紫陽花―きりりと締まる母の帯
七月 白南風―沖縄の布の手触り
八月 盆の月―それを破って秋の雷
九月 白露―アジアの星
十月 秋の蝶―老いるということ
十一月 小春―木綿のぬくもり、縞の粋
十二月 一陽来復―福は丸く
著者等紹介
田中優子[タナカユウコ]
1952年神奈川県横浜市生まれ。1980年法政大学大学院博士課程(日本文学専攻)修了。法政大学社会学部教授(近世文学)。『江戸百夢』(朝日新聞社、ちくま文庫)で芸術選奨文部科学大臣賞、サントリー学芸賞受賞。2005年紫綬褒章受章。著書に、『江戸の想像力』(ちくま学芸文庫、芸術選奨文部大臣新人賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねこや
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後書きで「布は場所とその土や空気の凝縮したもの」とある。もしもこの作品が着物、布地や文様の来歴を連ねた学術書のようは作品だったら、それを感じる取ることは出来なかったかもしれない。作中に描かれている作者自身の日常や着物や布に纏わるエピソードのひとつひとつは確かに着物や布地に凝縮されていて、物を受け継ぐというのは物だけのやり取りではないということを改めて感じさせられた。2016/03/04
なおこっか
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着物と共に季節を愛でる。布のルーツがアジアや、沖縄など各地に繋がっているのが、田中先生の本領。舶来の商品が巡りくる、だから物流は愉しいのだ…。2011/05/05
sa-ki
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着物や布に対する想いのこもった言葉は、着物初心者の私に良い刺激を与えてくれた。著者のような粋な着こなしができるようになりたい。2011/01/20
ランディ
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偉そうな文章が鼻についたが、着物の写真が美しい。が、特に外国の生地で作ったものは部分アップでは全体像の想像がつかずもどかしかった。若き日の一張羅というド派手な山吹色の着物は今頃は予告通り地味な色に染め返されてしまったんだろうか。もったいない。そのまま誰か若い人に譲るという訳にはいかなかったのかなあ、と思ったもんだが。2021/01/01
みこと
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(図書館)代々繋がる着物は素敵…2018/02/14