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ちくま文庫
誘拐の知らせ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 427p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480427649
  • NDC分類 963
  • Cコード C0136

内容説明

南米コロンビアで起こったある誘拐事件。やがて、事件は政府・マスコミの要人を狙って麻薬密輸組織が起こした、十件もの誘拐事件の一端であったことが判明する。連続誘拐事件を繋ぐ一本の糸とは?その背後で繰り広げられる、麻薬密輸組織と政府当局の凄惨な争いの結末は?ノーベル賞作家の著者が、綿密な取材をもとに現代コロンビア社会の暗部をえぐったノンフィクション。

著者等紹介

ガルシア=マルケス,G.[ガルシアマルケス,G.][Garc´ia M´arquez,Gabriel]
1928年コロンビアに生まれる。ボゴタ大学中退後新聞記者となり、ヨーロッパ、ベネズエラなどでジャーナリストとして活動。そのかたわら小説を執筆し、1955年、処女短篇集『落葉』を出版。1967年発表の『百年の孤独』で世界的に評価される。1982年ノーベル文学賞受賞

旦敬介[ダンケイスケ]
1959年、東京都出身。東京大学教養学科卒業。作家、翻訳家、明治大学国際日本学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

184
ジャーナリストでもあったマルケスならではの作品。一応はノンフィクションなのだろうが、スリリングに展開していくオープニングや、なんとも粋なエンディングなどは、まさしく小説にほかならない。細部を見るならば、人質となったベアトリスやマルーハの心理描写も迫真のものだし、また一方で物語の大枠を動かしているエスコバルのマチスモぶりや、解決を図るビヤミサルの驚くほどの粘り強さなど、随所に小説としての妙味が見うけられる。そして、その背後には救いがたいほどに荒廃したコロンビアの現実があり、それを見据えるマルケスがいる。 2014/08/04

えりか

48
面白かった。実際にあった誘拐事件に基づいて作られたお話。人物の細かな心理描写には鬼気迫るものがある。監禁場所における誘拐された者たちと番人たちとの関係が奇妙すぎるところがリアル。それぞれの思惑が錯綜し、人間関係や時系列がややこしくなるところがガボさんぽいかなと。ビヤミサルの粘り強さや精神力の高さが光るし、神父のまさに神がかっている人柄にふっと笑ってしまうなど登場人物がみんなとても魅力的。なによりもラストの演出が素敵。それにしても市民が麻薬、テロ、誘拐など治安の悪さに慣れてしまっているところが恐ろしい。2018/02/09

秋 眉雄

19
『神父は帽子を脱いで、窓から投げ捨てた。』これはあれでしょ。ガルシア・マルケスがノンフィクションという枠組みを使って書いたフィクションでしょ。と、思うほど物語に隙がないです。現実の話って、つじつまの合わない所とかあって当然なのに、もう、その展開や各々の思惑の積み重なり方ときたら貴方!最終秘密兵器的に登場する神父の嘘みたいなキャラクターときたら!2017/07/11

アドソ

10
ガルシア=マルケスを偲んで。ノンフィクションだということををよく知らずに手に取ったが、1頁1頁が重く苦しくて、ずいぶん長いことかけて読みました。油断していると、良くできたリアリズム小説であるかのように錯覚してしまうところが一番恐ろしい。今なお不穏なコロンビアの現状を見ながら、どんな思いで逝ったのでしょうか。事件の性質も本の構成もまるで違うのだけれど、村上春樹が「アンダーグラウンド」を書いたのとどこかで通じているような気がします。2014/06/13

刳森伸一

8
コロンビアで発生した連続誘拐事件の顛末をジャーナリストでもあったガルシア=マルケスが描いたもので、マルケスの取材力と天才的な語りの上手さが融合した手に汗握るノンフィクションとなっている。序盤は多数の人物が畳みかけるように登場するので、人物相関図を書きながらゆっくりと読むしかないが、それを超えると頁を捲る手が止まらない。また、通常であれば無視されるような幻視や予言なども事実と同じ地平で描かれているところがいかにもマルケスらしくて良い。2021/09/08

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