内容説明
能楽師が、80~90歳になっても颯爽と舞っていられるのは、表層筋だけに頼らない独特の「所作」による。「すり足」「新聞パンチ」「ストロー呼吸」などのエクササイズによって、大腰筋を鍛え、呼吸を深くすることで、集中力がつき、持久力のある身体になる。心と体を変えるエクササイズ。文庫化にあたり、新たに呼吸法を加筆した。
目次
第1章 なぜいま「和の所作」なのか(子供たちの様子がおかしい;衰える一方の子供の運動能力 ほか)
第2章 深層筋の働きと呼吸(表層筋と深層筋;大腰筋を活性化せよ ほか)
第3章 姿勢を整える「和の所作」(すべての基本は姿勢から;明治維新は姿勢が決め手だった? ほか)
第4章 身体能力を高める「和の所作」(大腰筋を意識する;腹筋の鍛えすぎに用心 ほか)
第5章 心を鍛える「和の所作」(日本人の心は腹にあった?;声はよくも悪くも「越える」こと ほか)
著者等紹介
安田登[ヤスダノボル]
1956年生まれ。能楽師、公認ロルファー(米国のボディワーク、ロルフィングの専門家)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねこ
116
能の稽古を子ども達ににつける事を通して身体と心の整え方を解説している本です。すり足、呼吸法、立ち振る舞い、深層筋の大腰筋の鍛え方。特に日本人であれば身につけておきたい所作です。図解も多くとてもわかりやすい。年配者もこの鍛錬を続けていれば90歳を超えても心身ともにシャンとした佇まいでいられそうです。能を舞う方々はご高齢が多く60代はまだまだ中堅。寿命が伸びた現代にあっては小僧かもしれません。私はまだ一度もリアルな能を見た事がありません。今年、能を見に行ってみようかな。2024/01/08
ばんだねいっぺい
29
うーん、大腰筋。新聞パンチは、半信半疑だが、足振りは、すぐにでもできるからやるとして、最後の内田樹さんの解説がとびっきり秀逸で、また、内田さんの本が読みたくなった。2017/08/31
うりぼう
27
7月に上京、松丸本舗で購入。アレクサンダー・レッスンで「歩くときに足の長さのイメージが違う、もっと足は長い」と骨格模型の直樹君を使って何度も指摘された。大腰筋を使っていないと。深層筋を意識することは本当に難しい。昨日、ジョギングをしたが、腿を上げるのは、大腿四頭筋を使わず大腰筋を使うことをイメージすると長時間の走りでも足の疲労感が違う。すり足は、小股で足先だけを使う感じだが、実際は股関節から動かし、最後に足指でしっかり地を掴む。見た目と動きは全く違い、ゆっくりだからこそ、軸をしっかりする必要があるのだ。2012/09/15
Kikuyo
23
「自分でその場の空気を感じ、それにあった態度、行動ができる子供を育てたい」それが、自然体ということなのでしょう。強迫的に押し付けられた躾ではなく。「和」の所作は一言で言うとしなやかさということかな。鍛えるという発想ばかりしてると身体も頭も固くなるばかりかも。参考にしたいことがたくさんありました。2019/04/21
夜間飛行
17
立ち方、歩き方、新聞パンチと、ときどき練習しながら読んだ。特に歩き方は、足裏の三点でバランスを取ることを心がけ、地面をつかむように‥‥と、これでよかったっけ? ま、少し違っているかもしれないけど、腰痛やひざの痛みがとりあえず消えた。とにかく、やってみて、何かが確実に変わったと思う。それから、本書は掲載写真がすばらしい。能の所作がいかに見事なものか、一目でわかる。骨格標本と筋肉の図解も気に入った。結論、「よき本は、よき師なり」。2012/10/31