内容説明
テロとの戦いや、北朝鮮の核武装への動きとミサイル実験、中国の軍拡などによって、軍事知識は必要不可欠なものになりつつあるが、軍事に関する議論は玉石混交の状態にある。では、まず何から読めばよいのだろうか。これまでアジア太平洋戦争について公刊された書物を、「開戦原因」「敗戦原因」「戦争の展開」「兵器について」「戦争責任とは何か」など多面的に整理・紹介し、戦争の真実に迫る。
目次
第１章 なにはともあれ基礎知識
第２章 なぜ戦わねばならなかったのか
第３章 軍国主義とはなんだろう
第４章 なぜ「軍部独裁」になったのか
第５章 戦争は避けられただろうか
第６章 これでは勝てるわけがない―戦略・国力編
第７章 これでは勝てるわけがない―兵器・技術編
第８章 「国のため」なら許されるのか
第９章 「戦争責任」はどう裁かれたか
第１０章 買ってはいけない
著者等紹介
林信吾［ハヤシシンゴ］
１９５８年東京生まれ。神奈川大学中退。８３年から１０年間、英国を拠点にジャーナリストとして活動する。９３年に帰国し、著述活動を行う（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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樋口佳之
41
軍事・戦史に関する正しい知識を身につけ、「戦争は勝たねばならぬものではなく、やってはならないものだ」と堂々と言える人が、一人でも増えてくれることを望む。本書の役割は、それ以上でも以下でもないと考えている。二〇一一年二月/読んだのはこの本が底本となっているunlimited本。読んでみたいと思う本も色々紹介されていますが、電子化されているものが少ないなあ。2020/10/25
coolflat
18
軍国主義に至る流れの説明が上手い。シベリア出兵（1918年）が軍の威信を失墜させ、軍縮を求める世論が高まる原因となったのだが、軍縮の原因はそれだけではなかった。第一次大戦後、世界的に軍縮の潮流が高まり、日本はワシントン軍縮条約（1922年）に調印した。更に関東大震災が追い打ちをかけた。軍のみならずほぼ全ての省庁が予算削減の対象になった。そこで1925年の宇垣軍縮である。軍縮とは要はリストラだ。リストラされた将校たちの再就職先は学校だった。これが教育現場に軍国主義を浸透させていく上で、大きな役割を果たした。2016/10/25
nnpusnsn1945
15
一般的な良書だけでなく、光人社NF文庫の本を沢山紹介してくれて嬉しかった。私が暇な時に読んでいた熊谷直の『帝国陸海軍の基礎知識』をいの一番におすすめしてくれたのはもう感激としか言えない。買ってはいけない物に、本田勝一の「中国の旅」を挙げていたのは意外であった。たしかに加害は事実であれど、証言を誇張してはいけない。小林よしのりの『戦争論』は逆に主観的すぎるが、見ていて疲れるのもまた同感である。話がそれたが、他にもおすすめできる本があるので読んでみてほしい。トピックも様々だから幅広い本を知ることができる。2020/10/23
Terry Knoll
6
色々な意見があるのは良いけれど、不正確な知識に基づく議論の展開はこまると感じた著者が勧める太平洋戦争関連のガイドブックです。 開戦原因・経過・敗戦原因・戦争責任の考え方まで戦争の流れによって紹介してある。 「第一次世界大戦までは戦争は敗戦国から賠償金が入るハイリスクハイリターンの投資と考えられていた。」と文章には納得。 紙面の関係でブックリストが巻末にないのが残念です。 各自の考えがあり議論するつもりはありませんが、失敗の連続である歴史。現在に通じており、色々参考になる事例が多いと感じています。 2015/08/11
ゴッツ
3
文章が冗談交じりで小難しいことを真面目に書くよりも読みやすかったし、著者は戦争が悲惨でやってはいけないものでそれを理解するために戦史を学ぶことは重要であるという考えは共感が持てる。まず出来るだけ多くの本を読んで自分独自で考察したいのでこの本の内容に薦められた本でも読んでみたいと思う。2015/07/19
