内容説明
かつてヨーロッパでは、どのような生活が営まれていたか。日本人がヨーロッパの歴史を学ぶ意味はどこにあるか。研究を進める上で、どのような着想と、史料操作や文献解読が必要だったのか。「ドイツ騎士修道会」の研究に始まり、ヨーロッパ中世の神秘的で混沌とした社会を豊かに鮮やかに描き出した著者が、学問的来歴をたどることによって提示する「歴史学入門」。
目次
第1章 私にとってのヨーロッパ
第2章 はじめてふれた西欧文化
第3章 未来への旅と過去への旅
第4章 うれしさと絶望感の中で
第5章 笛吹き男との出会い
第6章 二つの宇宙
第7章 ヨーロッパ社会の転換点
第8章 人はなぜ人を差別するのか
第9章 二つの昔話の世界
第10章 交響曲の源にある音の世界
著者等紹介
阿部謹也[アベキンヤ]
1935年東京に生まれる。1963年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。小樽商科大学教授、一橋大学教授、一橋大学学長、共立女子大学学長などを歴任。一橋大学名誉教授。2006年9月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マエダ
66
研究することのあり方やハーメルンの童話の考察は非常に面白い。2019/01/01
Nobuko Hashimoto
33
それなしに生きることはできないと思えることを追求すること、そうしながらも自分と、自分が追っている対象を客観視すること。著者・阿部謹也氏が師から学んだ姿勢は、学問に限らず当てはまることではないかと思う。月イチ連載の書評で取り上げました。https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=2015172019/04/05
魚京童!
30
自分の学問の塔に閉じこもっている人だ。ある意味可哀そう。でも幸せなんだと思う。何かを成し遂げたことで考えるのではなく、自分がやりたいと思ったことをやればそれでいいのだと思う。選民については、日本でも同じように研究されているけど、たぶん見てない。見ないことにしたのかもしれないけど、自分の道だけを歩いている気がした。なんか別に関わりがないから、いいんだけど、関わるなら距離を置くよね。なんでだろうね。ただの嫉妬か。2019/07/24
さきん
29
違う本で呼んだ世間の話はあまり面白くなかったが、著者の専門である中世史の小話は面白かった。グリム童話やハーメルンの笛吹きなどの古書から中世世界を考察する研究は興味深い。日本と西欧がこんなに違ったのはなぜかと著者はずっと考えていたことが伺えたが、自分はやはり、森林伐採とキリスト教の浸透、多民族間の多数の戦争が原因ではないかと思った。逆に、自然が身近あった中世は、戦争は絶え間もなかったかもしれないが、日本の中世と世界観が似ていると思った。2017/02/13
TSUBASA
27
中世ヨーロッパ史研究の第一人者阿部謹也氏が自らの来歴を語るとともに、当時の歴史観を紹介する。『ハーメルンの笛吹き男』がすごく面白かったのと、タイトルに惹かれて手に取った一冊。後半の中世ヨーロッパ史の見方も興味深いのだけど、前半の研究テーマをどうしようか悩んでた時期とか、今につながる幼少時代の経験を語った部分が特に面白い。阿部氏が師事した上原教授の言葉「解るということはそれによって自分が変わるということでしょう」これは忘れてはいけないなと思った。大学で何を勉強しようか悩んでいる人に是非とも読んで欲しい。2015/01/18