内容説明
ふだん本を読まない人が読むからベストセラーになる。だからいわゆる「本読み」は、ベストセラーを読まずに批判する。が、それでいいのか?そう思った文芸評論家・斎藤美奈子が果敢に挑みました。49冊を読み倒し、見つけたベストセラーの法則が6つ。読めば、抱腹絶倒、悲憤慷慨、そして世間の事情がわかってきます。文庫化に際し書き下ろしたのは『国家の品格』『東京タワー』など6篇。大増補版。
目次
1 読書の王道は現代の古老が語る「ありがたい人生訓」である
2 究極の癒し本は「寂しいお父さん」に効く物語だった
3 タレントの告白本は「意外に売れない」という事実
4 見慣れた素材、古い素材もラベルを換えればまだイケる
5 大人の本は「中学生むけ」につくるとちょうどいい
6 ものすごく売れる本はゆるい、明るい、衛生無害
著者等紹介
斎藤美奈子[サイトウミナコ]
1956年新潟生まれ。児童書等の編集者を経て94年『妊娠小説』でデビュー。以後、雑誌新聞等で文芸評論家として活躍。2002年『文章読本さん江』(筑摩書房)で第1回小林秀雄賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
154
齋藤美奈子さんの読書感想文ですが、これがすべてベストセラーについてのエッセイということになっています。月間百科に連載されたもので、四十数冊を取り上げています。五木寛之さんの「大河の一滴」から藤原正彦さんの「国家の品格」までかなり面白いくらいに様々な視点から分析(というかおちょくり)していて楽しめます。2016/01/09
まーくん
98
忖度なしの美奈子節を期待して読んだ。20年ほど前の本。当時のベストセラーを俎上に上げ批評というか、ほとんどボロクソ。雑誌連載。ベストセラーを読まない人のために代わりに読んで紹介すると言うスタイル。もともと人口の一割に満たない本を読む人を「偏食型」「読書原理主義者」「読書依存症」の少数派と、ベストセラーを支える多数派「善良な読者」に分類。そういえば自分もベストセラーはほとんど読まない。多分「読書依存症」か?素直じゃないから「人生訓」は受け付けない。How to物も読まない。芥川賞、直木賞作品には縁がない。2022/04/07
takaC
80
これが書けるだけの斎藤さんのバックボーンがスゴイと思う。2018/12/13
ずっきん
77
ベストセラーを「代読」した書評集。既読や、気になる本のところを拾い読み。辛口毒舌といわれてるようだけど、ユーモアがあって痛快。序文の『読書原理主義者』『善良な読者』『依存型』『偏食型』のカテゴライズには、頷きながらも刺さる刺さる(笑)2020/07/13
GAKU
42
1997年から2002年10月までの四十数冊のベストセラーを読み継いできた記録。ベストセラーの類をほとんど読まない私には、斎藤さんの辛口批評は痛快で面白かった。これからもベストセラーと呼ばれる本は、殆ど読むことはないだろうな。2022/05/03