ちくま文庫
無頼の点鬼簿

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  • サイズ 文庫判/ページ数 221p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480422859
  • NDC分類 281.04
  • Cコード C0195

内容説明

自ら無頼と称し、無頼を生き抜いた著者が人生の途上において共感共鳴したひとびと…三島由紀夫、梶山季之、高橋鐵、羽仁五郎、美空ひばり、嵐寛寿郎、父竹中英太郎…ある時は師とあおぎ、ある時は世間の逆風を受けつつも援け、ある時は遠くからその死に衝撃を受けたひとびとを万感の想いを込めて追悼する。

目次

三島由紀夫の死
なにが粋かよ―斎藤龍鳳
丈夫、志あるも…―梶山季之
野獣のアナキズム―大薮春彦
性いまだ解放されず―高橋鐵
“美意識”としての人民について―羽仁五郎
幕間 駅前やくざは、もういない
曼珠沙華、炎の中に瞑りたし
お芽出度いぞよ、丹下左膳
色は匂へと、散りぬるを―嵐寛寿郎
まぼろしの箱―「上坂東映」
ヒモと呼ばれて―林征二
むかし毛遊び―金城睦松
荊冠罪あり―植松安太郎
美空ひばりに捧げるオマージュ
残雪、竹中英太郎逝く……

著者等紹介

竹中労[タケナカロウ]
1930年生まれ。東京外語大学除籍。フリーのルポライターとして活躍。政治から芸能まで広い分野をテーマに、権威とは無縁な時代の心性を掘り起こす文章は、竹中節として多くの読者を魅了した。91年5月19日肝臓癌で死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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もりくに

59
前世紀後半を、「無頼」で生き抜いた「ルポライター」竹中労さんが書いた「点鬼簿」。点は記す、鬼は死者、すなわち「過去帳」。樹木希林さんから送られたもの。詠っているような華麗な文体。同業で「何が粋かよー斎藤龍鳳」という立派な本を贈られた斎藤龍鳳への屈折した思い。あれほど他人にメイワクをかけ、「鼻ツマミ」であった彼が、黄金の厨子に納められたよう。死後こんな立派な書物出さないように、遺言を、と。中断したライフワークの「日本映画縦断」。五所平之助監督は評価。「そろそろ、僕の出番?」。「生きることは一筋がよし寒椿」。2021/05/11

うえ

8
「三島由紀夫の文学が、自刃という行動へと収斂するであろうことを、私が半ば信じ半ば疑ったのは、その『反革命宣言』に、現政体である代議制民主主義こそ「言論の自由を守るに最適である」と、彼が述べていたからであった。『憂国』『奔馬』等々の文学作品に描かれた、鮮烈な自刃への志向を、彼のいう"言論の自由"は制動しているにちがいないと、私は合点していたのである。…いましばらくのあいだ文字に依拠して、彼は志を述べるつもりであろうと解釈していた。とりわけ1970年の政治状況は、戦後民主主義の黄昏というべき様相を示していた」2021/10/13

inokori

3
竹中労の文体に触れるのはほぼ20年ぶり,しかも全編竹中節,というのは初めてだったから読むのに骨が折れた(アナもボルも死語,その存在すら分からない現在にあっては.だって,『ダ・カーポ』などに寄稿した評論くらいしか読んだことなかったもの).著者に縁のあった故人への弔辞に近いエッセイ集だが,結局,その故人との関わりでの竹中労を読む,という形.立会川に住まっていた時期,零細工場の労働者を主とする創価学会員たちに助けられた,という言及は直前に読んだ本と合わせて感慨深い.2008/11/13

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