ちくま文庫
侠客の条件―吉田磯吉伝

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  • サイズ 文庫判/ページ数 346p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480422767
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0123

内容説明

史上最大の親分、吉田磯吉。川筋者といわれる命知らずの船頭達のなかから身を起こし、北九州・筑豊炭鉱を基盤に勢力を広げ、国会議員の座にまで昇りつめた男。政治暴力、労働争議への介入、流血を恐れぬ子分、社会の裏側に強靱なネットワークを持つ侠客の力を必要とした日本の近代とは何だったのか?現在にも通じる政財界とやくざのコネクション、その原点へと迫る異色ノンフィクション。

目次

侠客と民衆
暗闘・血戦の時代
大親分の座
調停役の条件
政治暴力の系譜
納屋制度と友子同盟
親分子分社会の構造
地域社会とヒエラルキー
内部抗争のメカニズム
私設憲法の世界
一つの時代の終わり
対談 吉田磯吉を語る

著者等紹介

猪野健治[イノケンジ]
1933年滋賀県生まれ。新聞・雑誌の記者、編集者を経て、フリーのジャーナリストとして活躍中。とくに、やくざ、右翼、総会屋などをテーマにした分野では、先駆的な役割を果たすとともに、現在も第一線で取材・執筆活動をつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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姉勤

3
不世出の大侠客、吉田磯吉の一代記でありながら、明治から昭和初期にかけての裏日本史でもある。世界に伍するため、なりふり構わず国力をつける中、国内の格差は開き切っていった。学や財がなければ人間扱いされず、そうなれば学や財は得られず。負のスパイラルのなか”暴”によらなければ生存を否定される人間達が、社会で生き残るための相互扶助,安全保障がアウトロー集団となり、その集団を喰わすための実力者が「親分」となっていく。リベラリストが否定するアウトローが、皮肉にも弱者救済、生き場を与えた。島(シマ)とはよく言ったもんだ。2013/06/17

筑紫の國造

2
日本最後の「純俠客」、吉田磯吉の一代記。近代日本を支えた新興工業都市で、地獄の苦汁労働者から九州一の大親分、そして中央政界にまで飛翔した吉田を描きつつ、「政」と「暴」が密接にからみ合う近代、「やくざ」が存在する意味などについても言及される。肝が太く、義理人情に厚く、腕っ節も強い。それでいて無欲、礼儀正しく、施した事は忘れ施された事は忘れない吉田の人柄は、単純に気持ちがいい。しかし随所に著者の古臭くて教条的な左翼史観が出ており、やくざ的な存在を美化しすぎている。吉田の資金源に触れていないのも大きな欠点だ。2016/05/07

satoshi

2
現代ヤクザの開祖にして最後の侠客と言われる吉田磯吉。杉山茂に「真実の義侠の士」と、そして頭山満をして「智仁勇の三徳を兼ね備へた男」と言わしめた人物。この本はそんな吉田磯吉の伝記であるだけでなく、アウトロー社会の成り立ちや内部の慣習なども描かれていて、かなり読み応えがありました。2011/11/16

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