内容説明
グリムのメルヘンとはそもそもどんなお話だったのか。子ども向きの楽しい童話なのか、それとも残酷で怖い昔話なのか。日本に早くから紹介されたものだけに、様々な版が入り乱れ様々な議論があったが、本書は、グリム研究の第一人者が満を持して発表した決定版。世界のグリム学者の議論を踏まえ、新たに訳しおろされた本格派。第1巻は「蛙の王さま」「ヘンゼルとグレーテル」ほか20篇。カラー図版多数。
著者等紹介
グリム,ヤーコップ[グリム,ヤーコップ][Grimm,Jacob]
1785‐1863。ドイツのヘッセン国ハーナウ生まれ。「グリム童話」を編纂する。1812年に初版を出版後、次々と改訂、1857年に第七版を出版
グリム,ヴィルヘルム[グリム,ヴィルヘルム][Grimm,Wilhelm]
1786‐1859。ドイツのヘッセン国ハーナウ生まれ。「グリム童話」を編纂する。1812年に初版を出版後、次々と改訂、1857年に第七版を出版
野村〓[ノムラヒロシ]
1925年生まれ。京都大学文学部ドイツ文学科卒業。東京外国語大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きょちょ
18
グリム兄弟の改変と改編があるものの、基本的にはドイツの昔話。決して覗いてはいけない部屋、日本と異なる終わり方が多いのが実に興味深い。全体的に悪者はかなり凄惨な死に方をするのはゾッとする。「白い蛇」、いくつかの動物は助けるけれど、そのために他の動物は平気で殺す、恐ろしや。「わらと炭とそらまめ」、最初はそれぞれ助かるが、最後はそらまめだけが生き残る。なんでやねん。「三枚の蛇の葉」、たった9ページでこの展開はすごい!究極は「三人の糸紡ぎ女」、怠け者の女がそのまま幸せに、あらまあ何ともうらやましい。 ★★★★2016/03/31
清水清美
12
読み返して気づくこと多々あり2013/11/02
bouhito
6
小学生の頃、授業でビデオを見せてもらったりしたけど、こうやって体系的に読んでみるのははじめて。「蛙の王」の末の娘のお父様をはじめとして、王様がだいたい人格者なのがいいですね。そして、年老いた女は魔女に通じるからなのか、ヘンゼルとグレーテルを森に置いてけぼりにしようとするお母さんをはじめ、性格が醜い。若い女性が美しすぎるからかもしれません。このあたり、能面における岡目から般若までの女性の移り変わりというものを想起させられました。2015/06/13
風太郎
5
以前読んだ『完訳アンデルセン童話集』よりかなり読みやすいものです。ただ、何と言いますか・・・・・・、R12指定をつけてもいいような気がしました。いい話もあるんですが、グロテスクな話だったり、人生は結局ずるい奴が勝ちみたいな話も多くて、大人が読むとああそうだね、そんなこともあるねと納得させられる所もあるのですが、子供たちにこんなことしていいの? と聞かれると肯けないものがあります。非常に複雑な気分で読み終わりました。童話に純粋さとかを求めてしまうのは、今の時代だからできる幻想なのかもしれませんね。2018/06/04
うれい
4
小さい頃に読み聞かせしてもらった絵本の元ネタがグリム童話から来てることは結構ある。グリム兄弟が収集し手を加えたグリム童話はなかなか残酷な描写もあったりしてあまり子どもむけではないのかも?という感じもする。2020/06/25