感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
99
再読ですが、私の年齢になるとどうもこのようなアンソロジーは思い出というよりもこのような世界もあるのだなあという感じで読みました。島崎藤村の「初恋」という詩や堀辰雄の「燃ゆる頬」などは確かに言葉の使い方がうまいという気がします。アンデルセンやヘッセ、リルケなどもああこういう世界もあったんだと改めて気づかされます。加藤道夫の竹取物語に題材を得た「なよたけ」がこの中では一番でした。2023/08/12
あつひめ
72
名前は知っているけれど読んだことが無い作家さんの名もあり良い本を手にした気がする。恋の良さ、怖さ、儚さ、狡さいろんなものが含まれている。美しい恋とはそのありとあらゆるものが混ざったものが美しさなのかもしれない。伊藤左千夫さんの容姿では想像できないような淡い恋心を巧みな表現で読者にも感じさせてくれる。国内、国外の作家さんのアンソロジー。どれも美しさの裏側の切なさ怖さを備えている。毎回外国人作家さんの物を読むと感じる。原文で読めたらもっと楽しめたかもと。同シリーズ作品を順に読んでみたくなった。2013/03/17
踊る猫
22
国内外、様々な作家の作品をチョイスしているのでこちらの見識が広がる。悪く言えばそれだけバラバラであるとも言える。恋という感情にピンと来ないからか、さほど心に響く作品と巡り会えたという感覚はない(もちろん、つまらない作品が収録されているという意味ではないので念の為に)。堀辰雄の作品が流石だな、という印象を抱いた。あとはフォークナーの作品におぞましいものを感じ、別の翻訳家が訳したらどうなるのだろうと考えさせられた。読まず嫌いだった作家と触れるのは面白い。このアンソロジー、もっと掘り下げたい……そう思わせられた2019/08/04
仮ッ子
4
さまざまな作家のさまざまなタイプのお話が読めてよかった。「美しい恋」とタイトルされているが・・・怖い話のよう。愛と妄執は紙一重。一番怖かったのは「ポルトガル文」男に捨てられた尼さんが、男に宛てた手紙。恨みつらみが延々と書かれてて、呪いのよう。こんなの読むと、三十一文字に凝縮した和歌ってすごいなぁ・・・と思う。2010/01/12
訪問者
3
再読であるが、ヘッセ「ラテン語学校生」は何度読んでも背筋が伸びる傑作。しかし、この本の目玉は書簡体小説の先駆と言われる「ポルトガル文」で、確かに名作だろう。だが今回読んで最も驚いたのは巻末に置かれた加藤道夫「なよたけ」。これは「竹取物語」を題材とした傑作戯曲。2023/05/29