感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Lisa Tada
5
「金毘羅」読了。岩波新書 森鴎外選集 一巻収録。全集もお話も、データがないのでテキトーに本を選んで登録(あとで検索するため)。ちょっと長めの短編である。 医者でもある鴎外が、情景描写に渾身の力を注いだのだろうか。流行病で赤子が安らかに死んでゆき、幼子が悶え苦しみながらも ひょっこり快癒していくさまは、読みごたえがあった。他の作品の「蛇」もそうだが、迷信に対して、否定はしないが懐疑的な立場を表明すること自体が、この作品を書く鴎外の原動力でもあると思う。そして、もちろん医学が万能とも思ってはいないという立場。2022/09/04
Lisa Tada
5
「懇親会」を読んだ。岩波新書 森鴎外選集 一巻収録。全集もお話も、データがなんにもないのでテキトーに本を選んで登録(あとで検索するため)。ごく短いお話。とりあえず仕方なく出席しているうるさいの極みに達した酒宴の中で、酔っ払いどもに絡まれている森鴎外の、おそらく体験談。だからなんだ、という程度のお話・・・だと私は思うのだけれども。2022/08/27
Lisa Tada
4
「追儺(ついな)」を読んだ。岩波新書 森鴎外選集 一巻収録。全集もお話も、データがなんにもないのでテキトーに本を選んで登録(あとで検索するため)。これも、ごく短いお話だが、やはり鴎外。情景描写が巧くて、さらさらと読めた。大したことはない、どんなお話をしようかね、と考えあぐねて、表題の「追儺(ついな)」の話をするのである。知人に宴会に呼ばれて行った、新しい店がすばらしく気に入ってくつろいでいると、老婆が出てきて豆打ち(豆まき)を始めたということを書き起こしたもの。なかなかに味わいがあって、気に入りました。2022/08/30
Lisa Tada
3
「大発見」読了。岩波新書 森鴎外選集 一巻収録。全集もお話も、データがなんにもないのでテキトーに本を選んで登録(あとで検索するため)。これも短編だが、時々声を出して笑ってしまう、面白い可笑しいお話。鴎外、こういうのも書けるのかと新鮮。なにが可笑しいといって、節約に節約を重ねて書籍代を捻出して暮らす鴎外の人生で、洋行した時から老年に至るまで、一番の気がかりは、「白色人種」は、鼻くそをほじるのかほじらないのかということだという。親しみやすいというか、おちょくるような文章も鴎外の知らなかった一面で、大発見である2022/09/01