内容説明
すべての子どもに等しく教育機会を与える試みがときに自由を抑圧し、一人ひとりの個性を尊重する教育がときに平等をむしばむ。「平等と自由」という価値を背負わされた学校が、常にこうした難問に突き当たるのはなぜか。問題の起源は、教育機会の拡大により社会の平等化を推し進めようとした、20世紀初頭のアメリカに探ることができる。「大衆教育社会」の進展につれ、学校の担うべき理念が「個人の形成」から「個性の尊重」へと変質したとき、何が起こったのか?アメリカの経験を掘り下げることで、日本の教育が抱える根深い問題を浮き彫りにした、第27回サントリー学芸賞受賞作の増補決定版!
目次
第1章 ウォードの時代―公立学校成立期のアメリカと知による平等主義(忘れられた社会学者;一〇〇年前の“ネオ・リベラリズム”の流行とウォード;マンの時代 ほか)
第2章 教育という万能薬―教育機会と平等の歴史(知性平等主義;頑迷な誤謬;知性の発達から教育可能性へ ほか)
第3章 ハイスクール物語―「教育と平等」の大転換(アメリカ的な学校・ハイスクール;シーマンの夢―「階級のない社会」、産業化とハイスクール;実際のハイスクールとエリート主義的画一教育 ほか)
エピローグ
補論 教育・平等と大衆教育社会
著者等紹介
苅谷剛彦[カリヤタケヒコ]
1955年東京生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。ノースウエスタン大学大学院博士課程修了、Ph.D.(社会学)取得。東京大学大学院教育学研究科教授をへて、現在、オクスフォード大学教授。専攻は教育社会学、現代日本社会論。データの精緻な検証により、教育や日本社会について、鋭く的確な発言をしつづけている。『教育の世紀』で第27回サントリー学芸賞(思想・歴史部門)受賞。『階層化日本と教育危機』で第1回大佛次郎論壇賞奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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