内容説明
冬の夜、結核療養所で聞こえた奇妙な泣き声。日中衰弱しきって運び込まれた母娘は、朝を待たずに逝った。それを知った著者は、娘の体をさする瀕死の母親のやせた腕を幻視する―「小さきものの実存と歴史のあいだに開いた深淵」、それは著者の原点にして終生のテーマとなった。近代市民社会と前近代が最深部で激突した水俣病闘争と患者を描く「現実と幻のはざま」、石牟礼道子を日本文学に初めて現れた性質の作家と位置付けた三つの論考、大連体験・結核体験に触れた自伝的文章など39編からは、歴史に埋もれた理不尽な死をめぐる著者の道程が一望できる。
目次
小さきものの死
六〇年安保と吉本隆明・谷川雁―大衆像の問題をめぐって
民衆論の回路
義理人情という界域
現実と幻のはざまで
死民と日常
石牟礼道子の世界―講談社文庫版『苦海浄土』解説
石牟礼道子の時空
石牟礼道子の自己形成
山河にかたどられた人間〔ほか〕
著者等紹介
渡辺京二[ワタナベキョウジ]
1930年京都生まれ。旧制第五高等学校を経て、法政大学社会学部卒業。評論家。河合文化教育研究所特別研究員。主な著書に『北一輝』(毎日出版文化賞受賞、ちくま学芸文庫)、『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞受賞、平凡社ライブラリー)、『黒船前夜』(洋泉社・大佛次郎賞受賞)などがある
小川哲生[オガワテツオ]
1946年宮城県生まれ。大和書房、JICC出版局(現・宝島社)、洋泉社を経て、現在フリー編集者。40年間に企画編集した書籍は400冊になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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勝浩1958
HANA
マウンテンゴリラ
chanvesa
陽之理