ちくま学芸文庫<br> 明治国家の終焉―1900年体制の崩壊

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ちくま学芸文庫
明治国家の終焉―1900年体制の崩壊

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  • サイズ 文庫判/ページ数 257,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480092960
  • NDC分類 210.69
  • Cコード C0121

出版社内容情報

内容は後日登録

内容説明

「1900年体制」とは、官僚閥の桂太郎と議会第一党・政友会の原敬によって構築された協調体制である。それは日露戦争後の金融界・産業界・都市部住民の主張を制限し、陸海軍と農村地主の利益を最優先しようとするものだった。ところが、軍部は陸軍と海軍に、官僚は大蔵と内務・鉄道院に、与党は積極財政派と行財政整理派に分裂し、野党・立憲国民党を巻き込んで政界は四分五裂に陥る。「民衆運動」もそれに共振し、統治システムの再編は迷走を続けた。「1955年体制」の崩壊を通奏低音としながら、予算問題の政治対立に焦点を当て、近代日本の臨界点となった「大正政変」の軌跡をたどる。

目次

第1章 桂園時代の成立と展開(桂園時代の開幕;桂園時代下の攻防)
第2章 桂園時代の崩壊(桂園時代の終焉;第二次西園寺内閣の退陣)
第3章 大正政変(大正政変;山本内閣の成立と崩壊)
第4章 大隈内閣の成立と大正政変期の終焉(大隈内閣と世論;増師の実現)

著者等紹介

坂野潤治[バンノジュンジ]
1937年生まれ。63年、東京大学文学部(国史学科)卒業。東京大学社会科学研究所教授、千葉大学教授を経て、東京大学名誉教授。主な著書に『近代日本の国家構想』(岩波現代文庫、吉野作造賞)、『日本憲政史』(東京大学出版会、角川源義賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

7
内容は評者にとっては理解が困難な時代。しかし、国際収支の悪化と、増税ができないという歳入の硬直性に直面していた時代(090頁)とのことで、既に、現代日本は貿易赤字にして消費増税もアベノミクスの効果とかなんとかいって、やってのけてしまいそうだが。TPPで一体、物価やら在庫など、市中にマネーがだぶつくような金融政策を講じて円安、株高になりつつある。うまくいくべか? 史料も随所にあり、高度な内容化と思える。大正2年時点で、『日本及日本人』に増税と物価騰貴が触れられている(161頁)。庶民経済は今も昔も悩みの種。2013/04/05

八八

6
坂野潤治は日本近現代史では外せない巨頭の1人である。『明治国家の終焉1900年体制の崩壊』はその代表作である。外債と内債によって日露戦争を勝利した日本は経済後進国から列強並みの軍事力を保有するアンバランスな状態へとなった。日露戦争後から第一次世界大戦に至るまでの日本の政治史を予算をめぐる対立から描きだす。2018/12/10

spanasu

2
坂野氏らしく予算政治への注目から官僚閥と政友会の協調という1900年体制の崩壊を描き、海軍軍拡・陸軍二個師団増設・減税要求・政友会の積極政策といった多様な利益要求があり、陸軍・海軍・政友会・貴族院(政権担当は無理だが「憲政の神様」も)がそれぞれ傷ついたことで誕生した大隈内閣のもと、第一次世界大戦で保守化することで増師賛成派の勝利で政治的に解決したとする歴史となる。日露戦後から第一次世界大戦までの消極的な歴史観とはなるが、古典というだけあってわかりやすく面白かった。2020/04/23

わび

1
日露戦争後の明治政府は財政の逼迫と明確な国家目標の喪失に特徴付けられる。その結果、主要な政治勢力は限られた予算の優先順位を巡って大きく分裂することとなり、安定的だと思われた1900年体制は呆気なく(大正政変そのものよりも遥か前に)崩壊する。とりわけ重要な指摘は犬養らオピニオンリーダー達も都市ブルジョワの利害(減税要求)を代表していたという点だろうか。旧憲法下で帝国議会に認められた最大の権能が予算の承認であった以上、議会や国民を巻き込んだ政争の本質はどこまでも予算を巡るものに他ならなかったのである。2020/03/15

Naoya Sugitani

1
日本政治史の大家である氏の代表的著作。1900年体制というのは政友会と官僚勢力による妥協の産物であった桂園体制のことを大まかには指し、本書ではその崩壊までの過程が描かれている。思えば戦後の55年体制もまた、妥協をよしとしない政治勢力の台頭が政権交代可能な二大政党制(のようなもの)を生み出したが、最終的には二大政党制は定着せず、戦前は政治の無極化と開戦、現在では一強が極限化した政治を生み出している。果たして大正期の政治はどういった教訓を私たちに問いかけているのか。また読み返したい一冊。2019/02/07

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