内容説明
万葉に詠まれた草花の真実、可憐に見えて意外な顔を持つスミレ、なかなか見ることのできない竹の花の秘密、真正の彼岸ザクラと近親種の関係、「満州国皇室」の紋章の“蘭”、荒川の桜名所移転案などなど。世界的な植物学者・牧野富太郎が、豊かな知識と日本の四季折々への深い愛情をこめて、伸びやかに語る。独学で植物学を学んだ若き志学の日々、学界への苦言提言、亡き妻への思慕まで、自らの生涯もユーモアを交えて振り返る、珠玉の自薦随筆集。
目次
万葉歌のツチハリ
万葉集スガノミの新考
万葉歌の山ヂサ新考
万葉集巻一の草木解釈
カキツバタ一家言
ブドウ(葡萄)
彼岸ザクラ
蓮の話・双頭蓮と蓮の曼陀羅
満洲国皇室の御紋章と蘭
竹の花〔ほか〕
著者等紹介
牧野富太郎[マキノトミタロウ]
1862‐1957。現高知県生まれ。植物分類学者。小学校を中退し、独学で植物学者を志す。東京大学理学部植物学教室で研究、同大学助手、講師を務める間に全国の植物の採集調査を続けて多数の新種を発見し、日本の植物分類学の基礎をつくる。『植物学雑誌』『植物研究雑誌』を創刊。理学博士、第1回文化功労者、没後文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nemunomori
5
植物研究への情熱が行間から迸るような随筆集です。なんて楽しそうなんだろう。お弟子になって野外観察について行きたくなりました。2015/10/27
のんき
2
エッセイとはいえ専門の植物の分類に関する文章はついていくのが難しかった。それでも一つの分野を深く探っていくことの楽しさや、著者の人柄などが伝わってくるから面白い。カキツバタのエピソードがほほえましかった。2011/01/05
未来来
2
雑誌に掲載したものから三十七題を寄り抜いた自薦随筆集。万葉集や春の七草に登場する植物について考察したり、植物の内一から数種をテーマにそれを紹介したり、植物学訳語について意義を申し立てたり等と、幅広く植物について語って頂けます。時には虫や妻、郷土についても触れられ、巻末には年譜まであります。読み進むにつれて内容が砕けていく印象。一部内容の重複がありますが、別々に書かれた文章を纏めたものなのでそういう事もあるでしょう。一部図入り。《大学図書館》2009/09/15
けんや
0
植物学教室としては読むのが義務かなと思って。2020/10/06