内容説明
ニュートン力学のあとを受けた18~19世紀は、熱をめぐる世紀となった。なぜ熱だったのか?本書は、科学者・技術者の実験や論理を丹念に原典から読みとり、思考の核心をえぐり、現代からは見えにくくなった当時の共通認識にまで肉薄する壮大な熱学思想史。迫力ある科学ドキュメントでもある。後世が断ずる「愚かな誤り」が実はいかに精緻であったかがじっくりと語られる。新版ともいえる全面改稿の全3巻。第1巻は、熱の正体をさぐった熱力学前史。化学者ラヴォアジェが熱素説の下で化学の体系化をなしとげ、より解析的に熱を取り扱う道が拓かれるまで。
目次
第1部 物質理論と力学的還元主義(機械論的自然観と熱―ガリレオをめぐって;「粒子哲学」と熱運動論の提唱―ボイルをめぐって;「ボイルの法則」をめぐって―ボイル、フック、ニュートン;引力、斥力パラダイムの形成―ニュートンとヘールズ ほか)
第2部 熱素説の形成(不可秤流体と保存則―ブールハーヴェとフランクリン;スコットランド学派の形成―マクローリン、ヒューム、カレン;熱容量と熱量概念の成立―カレンとブラック・その1;潜熱概念と熱量保存則―カレンとブラック・その2 ほか)
著者等紹介
山本義隆[ヤマモトヨシタカ]
1941年、大阪府生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。同大学院博士課程中退。現在、学校法人駿台予備学校勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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