• ポイントキャンペーン

ちくま学芸文庫
“象徴(シンボル)形式”としての遠近法

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 235p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480091680
  • NDC分類 725.2
  • Cコード C0170

内容説明

今日ではほとんど自明なもののように受け止められている透視図法。それは、完全に合理的な空間=無限で連続的な等質的空間を表現するために編み出されたものであり、人間の直接的経験・知覚の原理とは必ずしも一致するものではない。あくまで、ある時代の精神が求めたシンボル的な制度、教義的な形式だったのである。古代の曲面遠近法、ルネサンス期の平面遠近法の成立、近代以降の多様な展開を追いながら、時代の空間観・世界観を、広く人間の精神史と対応させて捉える。美術史・認知科学・建築論など、幅広い分野において今日いっそう参照される記念碑的論考。

著者等紹介

パノフスキー,エルヴィン[パノフスキー,エルヴィン][Panofsky,Erwin]
1892‐1968年。ドイツ・ハノーヴァー生れ。1926年よりハンブルグ大学に在職、ヴァールブルグ研究所との交流をもち、図像解釈学(イコノロジー)の手法を用い、広範な分野において文化史的美術研究を進める。1931年より渡米、ニューヨーク大学、プリンストン大学、ハーバード大学などで教鞭をとる

木田元[キダゲン]
1928年生まれ。中央大学名誉教授

川戸れい子[カワドレイコ]
1951年生まれ。恵泉女学園大学人間社会学部教授

上村清雄[ウエムラキヨオ]
1952年生まれ。千葉大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

364
難解な書物である。おそらくは訳者もそう考えているらしく、本文を遥かに凌駕する分量の注釈がついている。遠近法は数学的な問題かと思えば、さにあらず。「それが技術的ー数学的問題であることをやめたまさしくその時に、いっそう高い度合いで一つの芸術的問題となりはじめねばならなかった」との由である。近代の遠近法の祖をジョットとマザッチオに置くというのはわかるし、ファン・エイクの駆使するそれ(表紙の絵がそうだ)が圧倒的なまでの力を持って迫ることも。所詮は素人の私にはそこまでか。美学は実に奥が深いことを思い知った。 2019/02/26

彩菜

36
天使が跪くその絵の床のタイル模様…奥行き方向の線が悉くある一点へと消えている。線遠近法。「決して動かない」「ただ一つの眼」で見る事を前提に、幅・奥行・高さの値を一定の割合で変え、無限で連続した等質的空間を作り出す。ルネサンスに生じたこの図法が「二つの」「球体の」眼を持つ私達の視覚的現実に決して即してはいないと知っていただろうか。むしろ古典古代の視角遠近法の方が視覚の自然に忠実だった。けれどルネサンスは古代の権威を否定し、逆に古典古代は作図には大変便利なこの透視図法への小さな一歩を踏み出す事はなかった。→ 2022/06/27

しゅん

17
人間の視覚能力からみれば決して自然ではない遠近法が我々の世界の見方を規定している”象徴(シンボル)”となること。古代〜中世〜近代と絵画における遠近法の現われ方の変化に着目しながら、著者はその在り方を精緻に文に表す。私の美術知識の不足や専門用語への不理解のためにまだまだ全然読み込めてないが、「美意識」の根源を探るのに重要な書であることはぼんやり理解できた。本文より文量の長い詳細な原註が圧巻。2018/03/10

∃.狂茶党

10
少し読みづらい。 それというのも縦横に捜査した、膨大な参考文献が、何気ない一文に詰め込まれ、異様に情報量が多いからだ。 意図的に平板なものから、厳密さが、違和感に繋がりかねないもので、奥行きや距離をいかに描くか、高さをいかに伝えるか、そういったことが形式化される経緯と振り幅。 2022/06/19

8
遠近法的な見方は、それが主として理性と客観主義の方向に利用され解釈されようと、主として偶然性と主観主義の方向に利用され解釈されようと、絵画空間を原理的に諸要素から、経験的視空間の図式に従って構築しようとする意志に基礎を置いている。つまり、遠近法はこの視空間を数学化するのではあるが、しかしそれが数学化しているのは、やはりまさしく視空間なのだ。また、遠近法は一つの秩序づけではあるが、しかしそれは視覚的現れの秩序づけなのだ(77-78ページ)2017/11/27

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/105032
  • ご注意事項