内容説明
現代フランス思想をリードするナンシー。彼にとって思考とは、単独者の測り知れない重みを測ることに他ならない。「桜の樹は暗色の果実によって重々しくなっていて、摘み取ろうとする手に枝はおのずから身をゆだねてくる」と歌うヘルダーリンに導かれて、世界の重みへと身をゆだねる。重みへの、自己回帰なき、露呈こそが神的なことなのだ。ナンシー思想の核心、「詩人の計算」「ヒュペーリオンの悦び」の二篇のヘルダーリン論、哲学の彼方(ハイデッガーとデリダ)と宗教の彼方との深淵な対話「神的な様々の場」、デリダとの熾烈な論争を生み、壮大な問題系を切り拓く「キリスト教の脱構築」を収録。
目次
神的な様々の場
キリスト教の脱構築
詩人の計算
ヒュペーリオンの悦び
著者等紹介
ナンシー,ジャン=リュック[ナンシー,ジャンリュック][Nancy,Jean‐Luc]
1940年生まれ。ストラスブール大学名誉教授。デリダに触発され、ラクー=ラバルトと共同でドイツ哲学やナチズムの脱構築的読解を展開。「共同性」を起点に、思想・宗教・芸術を縦横に論じる
大西雅一郎[オオニシマサイチロウ]
1955年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。パリ第一大学留学。成蹊大学教授。フランス現代思想・文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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