ちくま学芸文庫
忠臣蔵―赤穂事件・史実の肉声

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480091093
  • NDC分類 210.52
  • Cコード C0121

内容説明

元禄の末、江戸城内の刃傷!浅野内匠頭は切腹、お家は断絶。大石内蔵助以下、浪士の討入りは称揚され、芝居になり、やがて国民伝説にまでなった。しかし実際の彼らはけっして一枚岩ではなかった。内部対立がある。相互不信がある。脱落者の相次ぐ中、さらなる逡巡、古武士の意地、引くに引けぬ心情…。47人はどのような日々を経て討ち入りに至ったのか。当日、吉良邸で繰り広げられた壮絶な戦闘とは。幕府が動揺するなかで、死を前にした浪士が遺した言葉とは。厖大な史料の叢に分け入って、事件の真相と、生きて血の通った元禄武士の人間ドラマを掘り起こした、傑作歴史書。

目次

元禄十四年三月十四日(赤穂事件と「忠臣蔵」;その前夜;刃傷松の廊下;内匠頭切腹)
江戸と赤穂(元禄時代の江戸;殿中刃傷事件の前史;元禄経済小史;赤穂と吉良;米沢と広島)
城明渡し―一家離散―潜伏(藩札始末一件;城中百家争鳴;赤穂無血開城;江戸と山科;山科会議;円山会議;江戸潜入)
元禄十五年十二月十四日(吉良邸討入り;泉岳寺引揚げ;米沢上杉家江戸藩邸;四大名家へのお預け)
元禄十六年二月四日まで(諸藩邸での赤穂浪士;討入りのデテール;幕府上層部の苦慮;四十六士切腹;吉良左兵衛処分;事件の波紋とその後)

著者等紹介

野口武彦[ノグチタケヒコ]
1937年生まれ。元神戸大学教授。近世文学・近世思想史を専攻し、現在は文芸評論家。文学と歴史の境界領域を探る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ばりぼー

55
歴史上の出来事が文学作品の名で呼ばれるという倒錯が生じた、いわゆる忠臣蔵事件を信憑性の高い史料を基にして「灰色のリアリティ」を回復しようとした労作。史料間の隙間を縫うために、どうしても推理で補う部分は必要となるので、これはこれで立派なミステリーです。発端となった殿中刃傷事件は、内匠頭は逆上しただけで無計画、上野介も単に出血性ショックで失神状態という、「加害者・被害者の双方ともこれほどだらしのない刃傷事件は史上最初」、上野介は上杉家の「厄介者」で、内匠頭が浅野本家の「迷惑者」という導入部分から目から鱗です。2015/12/17

あかつや

6
史料を丁寧に検証していくことで、歴史の中で実際に起こった「赤穂事件」と物語である「忠臣蔵」の違いを明らかにしていく。美談として語り継がれる忠義の物語も、内部ではそうシンプルな話ではなく、様々な葛藤や駆け引きなどが渦巻いている。もちろん性技に長けたくノ一軍団は出てこない。忍者はちょっと出てくる。基本冷静な著者だが、岡崎藩が後世でいいかっこするために、赤穂義士に同情的だったかのように記録を改ざんした形跡があるのには熱いツッコミを入れているのが面白かった。そりゃあ著者みたいな職業の人からしたら迷惑千万だよなあ。2019/11/01

紫草

4
歌舞伎や浄瑠璃の「忠臣蔵」ではなく、史実としての「赤穂事件」を検証した本。人物叢書の「徳川綱吉」等を先に読んだところ、将軍綱吉は刃傷沙汰を嫌い文治政治を目指していたらしい。でもこれを読むと現実の武士たちは「武士道」で生きてて、でもそれを発揮する場がない平和な時代の中で「来た!」って感じだったように見える。今この時に主君の仇を討つ(というか殿がやり損なったのをやり遂げる)、そして立派に腹を切る、これぞ武士だ、俺は武士だ!って感じで突っ走った。大石内蔵助はもっと冷静に浅野家再興を目指していたようだけど。 2021/01/09

兵衛介

3
史実を掘り下げていくと、伝説が色褪せたりするものだが、元禄赤穂事件はますます興味深くなっていく。決して一枚岩ではなかった赤穂旧臣団をまとめ、御家再興を諦めなかった大石内蔵助。しかしその望みが絶たれると、決然と討ち入りに立ち上がり、天下を敬服せしめた。今年は特に大河ドラマの影響で上杉武士を持ち上げる動きが活発だったが、年末にそんな上杉武士の虚像をはぎ取ったこの事件について思いを馳せるのも一興。2009/11/22

こまさん

2
史実としての赤穂事件を考察されたもの。吉良・浅野への評価や、単純な「義士」と「不義士」の違いは無いことなど、赤穂事件への評価とともに、元禄期の江戸幕府にまでふれている。2016/02/24

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