ちくま学芸文庫
丸山眞男―日本近代における公と私

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  • サイズ 文庫判/ページ数 297p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480090515
  • NDC分類 311.21
  • Cコード C0131

内容説明

戦後日本に屹立する巨人、丸山眞男。彼の思想の本質とは何だったのか。「丸山が何をいったかよりも、むしろ彼が何をいおうとしたか、その思想の余白を考えること。このことを本書では、彼の思想の余白を考えること。このことを本書では、彼の思想の隠された問いを発掘することによって考察しようとした」。丸山の省察ノートに自画像を読み、日本思想史研究に「公」と「私」のあり方を問うまなざしを追い、彼への数多の批判を分析しつつ丹念に思索の跡をたどることから、その思想の基底をなした問題意識に迫る。「近代主義者」「進歩的文化人」等の通俗的なイメージを覆し、ラディカルな思索者・思想家としての新たな像を提出する、刺激的な丸山論。

目次

第1章 思索と思想(混沌と形象;論点回避の丸山論 ほか)
第2章 公と私の分岐(はじめに;ファシズム研究 ほか)
第3章 時間・歴史・社会(近代的精神;転向の時代体験 ほか)
第4章 政治的思考(ロマン主義的思考と政治;政治・非政治・過政治 ほか)

著者等紹介

間宮陽介[マミヤヨウスケ]
1948年生まれ。東京大学大学院経済学研究科修了。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。社会経済学、経済理論、経済思想専攻。市場経済一辺倒の傾向を批判し、経済活動に「倫理」と「公共性」を求める立場からの発言が多い。また都市計画・まちづくり等の分野においても積極的に発言し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Ikkoku-Kan Is Forever..!!

3
「丸山の公私論はアレントの公共空間論をある面では乗り越えている、なぜならアレントは私に対するものとして公を論じているのに対し、丸山は公と私の間に公共性の居場所を見出そうとしているからである」p296について考えること。また、ここで言われている「公」と「私」の定義とは何か。公と私の弁証法的統一の方法論に、丸山の考える「近代的主体」を想定しているが、これでは〈認識〉と〈活動〉の間の断絶の深刻さが出てこないのでは?ここでいう「デカルト問題」とは〈認識〉に軸がある。もう少し別の観点から、この主体性を考えてみたい。2014/05/16

Ikkoku-Kan Is Forever..!!

0
『自己内対話』の使い方が実に印象的。まず、筆者は、これまでの丸山論に欠如しているものについて、「(丸山の)問題生成史」への視座をいう。そして、それは畢竟、「丸山思想史」を如何に解釈するかという事に還元されるという丸山論の難しさでもある。その中で筆者は、丸山に一貫した問題意識を見出す。言うなればそれは、「近代的主体」を巡って、その主体のあり方に深く関わる「他者意識」という視座を内包した意味での「デカルト問題」。丸山の問題意識を「デカルト的問題」と表現するところが、本書の肝だと思う。 2012/09/21

p31xxx

0
本書は丸山眞男の思想の本質を探り、丸山が言った言葉を問うのでなく、何を言おうとしたのかを明らかにするものだと筆者はいう。「偏見の自覚を欠くとき、自己否定は自己の絶対的肯定をカムフラージュするための口実に堕してしまう」と反省しながら、偏見に斬り込んでいく丸山の文章は、読者の「潜在意識をかき乱し」「不安に陥れる」もので、これを押して考察を深める丸山には、博識さだけではなく覚悟が非情に強いことを思い知らされる。戦後の知識人からの批判にも動じなかったのは、戦中獄中に過ごしたこともあったろう。2011/08/23

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