ちくま学芸文庫
グラモフォン・フィルム・タイプライター〈下〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 365p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480090355
  • NDC分類 361.45
  • Cコード C0100

内容説明

視覚、聴覚、書字への技術導入によって、主体であったはずの人間の意識までもが機械装置にとってかわられる。人間は生理学と情報工学へと解体され、操作されうるものになりはてた。リルケ、カフカ、ハイデガー、シュミットらによるテクストなど膨大な文献を渉猟しつつ、近代メディアの与えた衝撃を解読する。下巻はフィルムからタイプライターの章を収め、世界規模で繰り広げられるようになった戦争と技術の結託から、やがてくるコンピュータの支配の幕開けまでを描く。

目次

フィルム(映画の第一次世界大戦とユンガー少尉;フリートレンダー『蜃気楼機械』;精神医学と精神分析における映画;ドッペルゲンガー―映画の映画化;ミュンスターベルクの映画による精神工学 ほか)
タイプライター(男の手から女の機械へ;ハイデガー「手とタイプライターについて」;ニーチェのタイプボールと女性秘書たち;デスクワークする近代のカップル;タイプライターによる思索 ほか)

著者等紹介

キットラー,フリードリヒ[キットラー,フリードリヒ][Kittler,Friedrich]
1935年生まれ。ベルリン・フンボルト大学文化学・芸術学研究所教授。ドイツ文学、メディア論、文化学などの分野できわめて独創的な思想を世に問い続けている

石光泰夫[イシミツヤスオ]
1949年、大阪府生まれ。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。ドイツ文学・表象文化論

石光輝子[イシミツテルコ]
1950年、兵庫県生まれ。慶応義塾大学商学部教授。ドイツ文学・ドイツ文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

またの名

10
平等に漂う注意によって意識的な選別を限りなく排した録音機ばりの聴取を、上巻では誇っていたフロイト。その精神分析が解体した人々の幻想を取り込んだのが、本書によれば映画。映画で狂人と似たように描かれる精神科医は、そもそも魔女研究に取り組むシャルコー等からしてミイラ取りがミイラ状態。精神分析が特権的に扱った文字もタイプライターが登場するや脱性化されて、タイプライターと一体化して書き考える哲学者機械ニーチェが誕生する。ラカン理解が疑わしくうさん臭い本だが、米NSAがネット上の全情報を監視する今を既に予告していた。2017/07/01

igi_tur

2
上巻からかなりのタイムラグを経てようやく読み終わる。グラモフォン=現実界、フィルム=想像界、タイプライター=象徴界ですか。タイプライターとニーチェがかように密接に関係しているとは思わなかった。タイプライターの影に女性がいるのがまた面白い。ところで「溝、閃光、星々」って、ベンヤミンのエッセイにあったフレーズのような気がするんだけどどれだか思い出せない。2009/10/18

Ecriture

1
ドッペルゲンガー工場・想像界としての映画と、性転覆・触覚から立ち上がる言語の場・エクリチュールオートマティク・象徴界としてのタイプライター。想像界と象徴界ってこういうものかと改めて確認。失明間近のニーチェとタイプライターのエピソードは感動モノ。フーコーのディスクール分析を読み替えてる部分は工学に全て還元できるとは思えないが。2009/02/02

hobby no book

0
上巻のほうがだいぶ楽しんで読むことができた。タイプライター編には、導入にあった「規格化されたテクストによる分断」という内容を期待していたのだけれど、自分が読み取りきれなかったのか、いまいち迫ってくるものがなくて、淡々と読み進んでしまった。2015/04/14

ヤマニシ

0
「機械化され、またそれにふさわしい題材をとりあげつつ、現代の文学は匿名性のなかに埋没する。」(p215)2021/07/09

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/32002
  • ご注意事項

最近チェックした商品