ちくま学芸文庫
雄羊

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  • サイズ 文庫判/ページ数 206p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480090201
  • NDC分類 135.5
  • Cコード C0110

内容説明

2003年、ハイデルベルク大学におけるハンス=ゲオルク・ガダマー記念講演。1981年、デリダと現代哲学の泰斗ガダマーの最初の出会いは、表面上不首尾に終ったように見えたが、実は本当の対話、もはや途切れることのない対話がそのとき始まったことを示す。また、もう一人の友であるパウル・ツェランの『息の転回』所収の詩「雄羊」の読解を通じて、詩こそが「真の対話」であり、他者との「出会いの秘密」であることを明らかにする。詩と哲学の本来の場における、デリダのエクリチュールの真骨頂。デリダ生前最後の重要著作。文庫オリジナル。

著者等紹介

デリダ,ジャック[デリダ,ジャック][Derrida,Jacques]
1930‐2004年。アルジェリア生まれ。エコール・ノルマル卒業。西洋形而上学のロゴス中心主義の脱構築を企てた哲学者

林好雄[ハヤシヨシオ]
1952年生まれ。東京大学仏文科卒業。駿河台大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

63
奇妙な題はツェランの詩から。デリダが語るのは、作者が何を言おうとしたのか突止めたとしても、語や詩句の未決定、残余は残り読者は詩を汲み尽くすことはないということ。そして、作者から親権を切り離すように見える意味の散乱こそが詩を生き生きしたものにするということ。一方に作者と共に死ぬ、彼が表現した真情があり、他方にそれを尊重しようと努めながら残余・余情に向かう「散種的な読むこと」がある。本書では後者を作者が死後も生きる営為として祝福しながらも失われるものへの感慨も深く感じられ、感傷的で諦念的な印象深い一篇でした。2022/02/14

魚京童!

11
さっぱりわからん。最近読み物の意味がなくなってきた。だって集中できないんだもん。意識を連続的に保てない。なんか生きてる。そんな気分。2017/12/05

渡邊利道

4
ガダマー記念講演をもとにした本。ガダマーとのすれ違いの対話の宙づりから、ツェランの詩「雄羊」(詩集『息の転回』所収)についての分析に転回する。解釈すること、対話することの終わらなさについて。どこかセンチメンタルで、これが著者生前最後の本であるという事実に大きな意味を付与してしまいそうになる。短い本だがデリダの問題のこだわりがよく理解できたような気がした。でもまあいつも他の本を参照しないわけにはいかない感じが面倒というか何と言うか。そんな次々読んでられんw2017/03/01

ラウリスタ~

4
雄羊という奇妙な題は日本語においてはほとんど意味を成さない。狩猟、牧畜文化の中で作り上げられたフランス語において、本来の意味を持つ。普段使い慣れた言葉を語源までさかのぼり、予想外の繋がりを見つけ出す。外国語学習では常に生じる場面をフランス人が、ドイツの詩の読解を通して行なう。翻訳の不可能性、対話の不可能性の上に、対話の面白みがある。絶対に理解しあうことは出来ない。完全な理解なんてはの「個人」という言葉の意味からありえない。言葉を愛した人間の書いた文章なのでしょう。2012/03/14

Yuki

1
デリダといって尻込みせず、是非手にとっていただきたい。/「死を与える」の宗教的な背景を見せつつも、詩の読解の入門書として恰好の書。2017/06/25

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