内容説明
日本の抒情はひとりでに生まれたのではなかった。記紀の歌謡の“抒情以前の抒情”はフィクションによって鍛えられたと想定し、古代の歌ごころとその背景のドラマのなかに抒情のあけぼのをとらえなおす画期的な『記紀歌謡』(1972年)。「柿本人麻呂の抒情の構造」「そらみつ大和」「万葉の海」などの万葉論では、防人歌・有由縁歌・ワザウタにも果敢に切り込む。古代のうたの生成、成長を凝視し、歌謡・和歌の本質に迫る。
目次
1 記紀歌謡(岐路体験―日ただむき 枕かずけばこそ;「先万葉集」―潮のくだり 海くだり;抒情以前の抒情―大刀が緒も いまだ解かねば;かたりごとの末裔―事の 語りごとも こをば;亜流の形式―上技は 天を覆へり ほか)
2 (防人等;柿本人麻呂の抒情の構造―反歌の特色;有由縁歌;そらみつ大和;挨拶の歌 ほか)
著者等紹介
益田勝実[マスダカツミ]
1923年、山口県に生まれる。東京大学文学部国文科卒業。法政大学文学部教授を長く務める。国文学のみならず歴史学・民俗学などの方法を駆使し、日本人の精神的古層を明らかにした。また、高等学校用国語科教科書の編集にも携わり、国語教育への多くの提言を行った。実証と想像力のせめぎあうその緊張した文章は、多くの読者を魅了している
鈴木日出男[スズキヒデオ]
1938年生まれ。成蹊大学文学部教授、東京大学名誉教授
天野紀代子[アマノキヨコ]
1940年生まれ。法政大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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