ちくま学芸文庫
恋愛の不可能性について

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  • サイズ 文庫判/ページ数 309p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480089588
  • NDC分類 361
  • Cコード C0136

内容説明

愛=社会性をめぐる謎を考えるのは、言語哲学のパズルを解くのに似ている。それは「言語」こそが、人間をまさに人間たらしめている人間の秘密をもっとも明白に示しているからだ。愛という他者との関係における神秘に言語学的なアプローチで光を当てる表題作のほか9篇。貨幣と他者、宗教と音楽、言語と理解など、現代思想を自在に駆使しつつ社会の諸相に切り込み、その形式を徹底して論理的に解明し、他者とのコミュニケーションの実像を読み解く。現代社会学の先端を疾駆する力作を揃える。

目次

序章 「これは愛じゃない」
第1章 恋愛の不可能性について―愛すること・と・信じること
第2章 言語理解の本性を求めて
第3章 言語と貨幣の問を往復する
第4章 貨幣における他者性
第5章 待つことと待たれること
第6章 美を完結させる乱調―数学と社会学
第7章 表現の禁止を経由する表現
第8章 逆説の合理性―意味の秩序=順序・と・他者の効果
第9章 コミュニケーションに未来はあるか―多重化するメディアを考える

著者等紹介

大澤真幸[オオサワマサチ]
1958年、長野県松本市生まれ。1987年、東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学専攻。専門は共生文明学、現代社会学。京都大学人間・環境学研究科助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ころこ

40
タイトルにある「恋愛」とは寓意であり、「不可能性」の方に著者の意図が込められている。「不可能性」は、著者の一連の仕事にとっての裏キーワードだ。『虚構の時代の果て』にはじまり、何度も再論されて岩波新書『不可能性の時代』において、「不可能性」の時代というのが著者の到達した現在を示す言葉であることからも分かる。著者の「不可能性」とは、超越的に到達したいが到達し得ない、つまり否定がより高次の肯定になり得る何か、と定義できる。批判的な言葉に置き換えると「否定神学」ということになる。本書時点では若書きであり批判するの2023/01/09

ラウリスタ~

11
もうちょい軽い本だと思ったら、それは最初の数ページだけ。途中から超難解な議論を始めてくる。このタイトルは読者を釣るためのものであって、結局のところ、言語とか他者とかそこらへんのことについて書いてある。だから、そういったことを読みたいのであれば、わざわざこの人のを読もうとは思わない。これが読みにくいのは、結局のところ、雑多な論文を集めたものだから、思想、言語系の雑誌に載った論文を集めただけだから、一冊の本として読むにはあまりに盛りだくさんというかなんというか。2013/05/19

Ecriture

9
愛は記述私の固有性・宇宙における中心性が他者によって否定され(カサヴェテス映画的な「私は私ではない」)、自他の区別が不能な共存在として生きることを受け入れることが愛には不可欠と言うが、二者による異性愛と別に家族愛や友愛、自己愛はどうなるのだろうか。著者の「不可能性の時代」という時代区分もあるので、これが愛にのみあてはまる考察なのかもいまいち説得的に説明されているとは言えない。我々は最終的には固有名詞という普通名詞を手に入れる(デリダ)ということを考えても、名詞論にも疑問が多々。2014/08/18

大道寺

6
表題作を含む9本の論文。これを表題にしたのは人の目を引くという意味では正解だけど、恋愛の一般的な(?)イメージで手に取ると肩透かしを食らうだろう。私は先に『逆接の民主主義』を読んで著者の「愛」という言葉の使い方が気になったので本書を読んでみた。これは解説にあるように形式についての論文集だ。同じことが繰り返し語られるうちにわかった気になるかもしれない。2010/02/13

りっけんばうあー

3
「頭いい人」(学力が高いとは言ってない)ってものすごく恋愛が上手、というか、自由に恋愛するイメージがあるのですが、そういう人たちはやっぱりこういうことをなんとなくでも共有してるのかな、と思った。自分自身はそんなに頭良くないけど、こういうことは質感としてずっと持っていたので、ちょっとだけ嬉しかった。この本を読んでしばらくは言語というものへの捉え方が変わってしまい、しばらくマトモに話せなくなったという蛇足。2016/11/23

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