内容説明
女性の乳房は、さまざまな意味を与えられてきた。乳幼児を養うもの、男性によって愛撫されるもの、芸術家にインスピレーションを与えるもの、法規制によって隠蔽を義務付けられるもの、そして女性自身のもの。それは、乳房を所有しているのは誰なのか、という問題にも直結してくる。各種の社会体制や欲望の対象になってきた乳房を、古代から現代にいたるまで総覧する文化史。図版多数。
目次
序章 移り変わる意味
第1章 聖なる乳房―女神、女神官、聖書に登場する女性、聖女、聖母
第2章 エロティックな乳房―「天空の形をした球」
第3章 家庭的な乳房―オランダの間奏曲
第4章 政治的な乳房―国家のための乳房
第5章 精神分析学上の乳房―注目される体
第6章 商品化された乳房―コルセットからサイバー・セックスまで
第7章 医学的乳房―命を与えるものと命を破壊するもの
第8章 解放された乳房―政治、詩、そして絵画
第9章 危機にある乳房
著者等紹介
ヤーロム,マリリン[ヤーロム,マリリン][Yalom,Marilyn]
スタンフォード大学のInstitute for Women and Genderの上級研究員。1992年フランス政府より教育功労章を受勲。夫であり作家であるアーヴィン・ヤーロムと共にカリフォルニアに在住
平石律子[ヒライシリツコ]
東京生まれ。津田塾大学国際関係学科卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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S‐tora
2
◎ 女性の乳房の文化史についてのまじめな本。女性の乳房の方が神格化されやすかったり象徴化されやすいのはわかるんだけど、訳の人が言っているような「乳房は女性特有のもの」であったり、男の乳房に価値がないということはないと思うので、ぜひ男の乳についても研究してもらいたい。2022/02/13
たけぞう
2
カバーはこんな感じですが、学術的に書かれた文化史です。先史時代から20世紀までの人々が乳房とどう向き合ってきたか、社会状況や医学、ジェンダーと結びつけながら論じています。ある程度最近の時代になると流行が結構速いペースで変わるんですね。2014/07/21
三柴ゆよし
2
西洋文化における乳房の意味とその所収者とを問うた書物。神話、文学、絵画、政治、ファッション、医療、精神分析、宗教、ポルノ、ウーマン・リブまで、非常に幅広くカバーしている。基本的にフェミニズムの立場から執筆されたものだが、著者の思想があまり出しゃばることはなく、その点では好感が持てる。乳房なるものに我々は何故かくも恋焦がれるのか。これまで真面目に考えたこともなかったけど、なるほど斯界も奥の深いものだ。大変勉強になりました。2010/09/06
釈聴音
0
第八章「解放された乳房―政治、詩、そして絵画」が一番読みごたえがあり興味深い。そういえば日本の枕絵、春画や古典の中で乳房に焦点を当てたものは少ないのではないか(『古事記』『古語拾遺』におけるアメノウズメの姿があるぐらいか?)。2013/01/30
じめる
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人類はおっぱいには逆らえないんだな……。おっぱいはいいねって思うけど、俺がそう思うこと自体が女性の権利を侵害しているかも2012/12/19