ちくま学芸文庫
安政江戸地震―災害と政治権力

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  • サイズ 文庫判/ページ数 283p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480088864
  • NDC分類 210.58
  • Cコード C0121

内容説明

維新をさかのぼること12年、安政2年秋の夜半、直下型大地震が江戸を襲った。大江戸八百八町を壊滅させ、7千人を超える死者を出したこの地震が、幕府倒潰の序曲となった。巨大災害は、政治と社会に蓄積されたひずみを一挙に顕在化させずにはおかない。政権の当事者能力の欠如。地震後の社会の「ラディカルな能天気、支配層への期待感ゼロ状態、とことん徹底的な政治無関心」。国家権力は液状化した地盤の奈落に自重で沈降していく。江戸の地殻に走った亀裂は、いかにして幕府の基盤を掘り崩し、政権瓦解を導いたのか。その歴史のうねりを緻密な考証分析と緊迫の筆致で描く、災害と政治の歴史学。

目次

第1章 歴史は揺り返す
第2章 地震前夜の江戸
第3章 江戸官庁街直撃―安政二年十月二日夜・その一
第4章 日本橋と深川―安政二年十月二日夜・その二
第5章 世は安政、民のにぎわい
第6章 運命の卯年
補論 「江戸とその自然地形」図を思い立つまで

著者等紹介

野口武彦[ノグチタケヒコ]
1937年生まれ。元神戸大学教授。近世文学・近世思想史を専攻し、現在は著述業。文学と歴史の境界領域を探る
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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yooou

7
☆☆☆☆★ 鈴木理生の流れを踏みつつ安政地震の頃の江戸へと更に一歩二歩と迫る著者の博識に舌を巻きました。そしてこの地震の頃の江戸が現代に通じるものが浮かび上がってくるとき読者はきっと背筋が凍りつくでしょう2014/01/26

OjohmbonX

4
日本の富裕層はあまり寄付をしないと言われるが、昔からそうだったわけではなく、安政地震の被災時は「市民を支援するのは政府(幕府)ではなく富裕層(大店・大商家)だ」というコンセンサスがあって、市民側も当然要求するし、富裕層側もそれに応えるのが当然だというのが実態だったらしい。明治に入って自治権を回収して(中間勢力を解体して)中央集権的な国家を構成し直すことで「政府が世話をして当然」という価値観への転回が起こったのかもしれない。2017/11/11

an

3
ペリー来航の次の年に起こった安政の大地震(1855)。江戸幕府崩壊の12年前。外圧も高まり、内政も赤字、権力争い。庶民はその日暮らしながらもたくましく立ち直っていくが、もはや政情不安に信頼関係もなく。250年前から変わらない日本人気質とこれから間違いなく起こるであろう関東大地震が怖いと思いました。2011/05/05

じろう

0
幕末期に大きな地震、コレラ大流行、などの社会的大事件があったことを再確認。証明不可だが政治的変動も自然の猛威などに深く関わっているのだろう。2019/11/04

ATSU

0
江戸時代もこのころになると,「御救」がこんなにあったんですね。戦争がない江戸時代に統治というものに関する考え方が徐々に変化していったのだと思います。野口氏のこの本は,北原糸子『安政大地震と民衆』によるところが多いようです。(野口氏が自分で言っています。)次はこの本を読みます。 2018/05/01

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