内容説明
主観的・個人的な感性の問題である“美”にとって、客観的な論理や学問は可能だろうか?美学的営為はそのはじまりから、すでに逆説的事態を宿しているといえよう。低級感覚たる味覚を感性論としての美学に変容させようとする「味覚の不幸」、カントの『判断力批判』に即し崇高と芸術との内在的関係を問う「崇高と芸術」、私たちにとって身近に芸術を体感できる美術館という制度の逆説をめぐる「比較芸術学と美術館的知」など、美学が孕み持つ諸問題を、鋭くスリリングに解き明かす力作論考9篇。
目次
1 味覚の不幸
2 崇高と芸術―カント『判断力批判』に即して
3 芸術の社会学的考察
4 美的距離の現象学
5 記号論としての美学―パースにおけるイコン論の成立と展開
6 直観と表現―ベルクソン美学の構造
7 美学としての構造主義―レヴィ=ストロースの芸術論をめぐって
8 美学と美術批評―グリーンバーグとカント
9 比較芸術学と美術館的知
著者等紹介
谷川渥[タニガワアツシ]
1948年、東京生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻は美学。現在、国学院大学文学部教授
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