ちくま学芸文庫
貧困の文化―メキシコの“五つの家族”

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  • サイズ 文庫判/ページ数 621p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480087669
  • NDC分類 368.2
  • Cコード C0139

内容説明

20世紀半ば、一人の若きアメリカ人人類学者が、世界有数の大都市メキシコ市に暮らす5つの家庭を対象にフィールドワークを行う。それは、「未開人」を対象とするのが一般的だった人類学を大都市にもちこみ、同時代の問題を直視する、野心的な試みでもあった。その成果は、各家族の一日を「民族誌学的リアリズム」によって再現する形でまとめられ、アメリカで発表されるや大きなセンセーションを巻き起こした。この都市人類学の先駆的業績は、アクチュアルな問題として論争されつづける貧困問題の草分け的存在であり、今日なお、注目されている。

目次

マルティネスの家族―メキシコ村落における一日
ゴメスの家族―カサ・グランデにて
グティエレスの家族―パナデロス通りにて
サンチェスの家族―メキシコ市のはずれにて
カストロの家族―ローマス・デ・チャプルテペックにて

著者等紹介

ルイス,オスカー[ルイス,オスカー][Lewis,Oscar]
1914‐1970年。ニューヨーク生まれ。エール大学、司法省特別戦争政策部などを経て、ワシントン大学・イリノイ大学で教鞭を取る

高山智博[タカヤマトモヒロ]
1937年生まれ。上智大学名誉教授

染谷臣道[ソメヤヨシミチ]
1942年生まれ。静岡大学名誉教授。国際基督教大学教授

宮本勝[ミヤモトマサル]
1945年生まれ。中央大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ゲニウスロキ皇子

2
久しぶりにがっつりとした民族誌を読んだ。だが、非常に読みやすい。メキシコで貧困のうちに生きる家族たちの一日を描き、彼らがその現実に適応している様を示す。「貧困の文化」である。しかし、後書きで訳者が文化の流動性に言及し、「『○○文化』という語りは、あくまでも仮称ととらえるべき」と主張する時、人類学の伝家の宝刀「分析概念としての文化」に疑問を感じざるを得ない。人類学の黎明期には多大な役割を果たした文化という概念は、今や非常に扱い辛いものになってしまったように思う。「文化」の有効性を今一度考えたいなあ。2011/09/03

まつゆう

1
比較的近代化されていない部族や地域を調査する、人類学で使われていたフィールドワークの手法を貧困層に応用した画期的な書。説明を施さず、淡々と描写する「羅生門的手法」の精緻さには、驚かされる(当時に高性能のビデオカメラやテープレコーダーがあったとは思えないが…)反面、もっと分析がほしいと物足りなく思うやもしれないけれども、「貧困の文化」に概念的枠組みを上から勝手に与えて裁断することを警戒した、筆者の最大限の学問的誠意ではないかな。翻って、現在、生活保護などの問題で紋切り型の批判に終始している我々は…?2012/11/28

Arte

0
文化人類学者が、一般的な貧困層の生活よりも、一部の西洋文化と接触していない村の生活のことを全世界が知っているにはおかしいと考え、、1950年代前後のメキシコの5つの家庭の暮らしを、朝起きてから寝るまでの1日の生活を詳細に語るという形式で示した本。実際の取材時間が膨大なことは明らかだが、1日の生活という形にまとめることで、非常に読みやすい(みんな家を掃除ばかりしているのがちょっと笑える)。読み終わった後も始終内容が頭に浮かぶほど素晴らしかった。2017/11/14

gogo

0
メキシコの5家族の1日を描き、文化人類学の分野でのリアリズムを打ち立てた民族誌。貧困のなかに暮らす5つの世帯各々のとある1日について、朝起きてから夜寝るまでを、背景説明も含めて詳述する。スラムの人たちが、どんな人間関係のなかで、何を考え、何で生計を立て、何を食べているのか、また、彼らが貧困のなかでもしたたかに生きるさまが活写されている。事実に基づくノンフィクションでありながら、小説のように読みやすく、また登場人物の語りに感情を揺さぶられる。

🤩🤩🤩

0
面白かった2023/10/01

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