内容説明
共産主義を鼓舞しながら、その裏切りや挫折のうちに潰えていったものは何だったのか?今世紀を貫く政治的文学的体験における「共同体」をめぐる思考を根底から問い直し、「共に存在する」ことの裸形の相に肉薄する。それはいっさいの社会的関係の外でこそ生きられる出来事であり、そこで分かち合われるのは逆説的にも複数の生の「絶対的分離」である。ハイデガーの「共存在」を換骨奪胎し、バタイユの共同体の試みやデュラスの愛の作品、そして「六八年五月」の意味を問いながら、「共同体の企て」やその政治化の厄々しい倒錯を照らし出し、「共同体」を開放系へと転じる20世紀のオルフェウス、ブランショの思想的遺言ともいうべき書。
目次
1 否定的共同体
2 恋人たちの共同体
訳註
ブランショと共同体―あとがきに代えて
付録(遺産なき共産主義;ビラ・ステッカー・パンフレット)
著者等紹介
ブランショ,モーリス[ブランショ,モーリス][Blanchot,Maurice]
1907年生まれ。文学という既成の制度を超えて、書くことを人間存在の根源的な体験“死”と結びつけ、これを小説化する一方、マラルメ、カフカ、ニーチェなどをめぐる批評を展開、文学的思考をひとつの極限まで高めた
西谷修[ニシタニオサム]
1950年生まれ。明治学院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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