ちくま学芸文庫<br> カフカとの対話 (増補版)

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ちくま学芸文庫
カフカとの対話 (増補版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 385,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480081414
  • NDC分類 940.28
  • Cコード C0198

内容説明

G.ヤノーホは、困難な青春の暗澹たる一時期―17歳という多感な年頃―にフランツ・カフカの知遇を得た。以後、並はずれた文学・音楽・美術青年としてしばしば晩年のカフカと接触した。その時の記録と追憶が本書である。20世紀の不安と絶望を鋭く形象化したカフカの文学世界への手引きであると共に、一人の役人として平凡な役所勤めをする生活者カフカの姿を生き生きととらえた感銘深い名著。

目次

カフカとの対話
この書物の物語

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

燃えつきた棒

38
当時、未熟な文学青年だったヤノーホが、精神的な父でもあるカフカとの親交の中で聴いた「フランツ・カフカかく語りき」だ。 僕はただ、珠玉の言葉が奏でる妙なる響きに心ゆくまで浸っていたい。 今回も、単なる読書ノートとして記す。 なお、その信憑性に疑義が提出されている増補第二版で追加された断章から引用することは差し控えたい。/ 【カフカは唇を歪めた。 「あなたは、蜉蝣(かげろう)のようなものにあまりにかかずらいすぎるようだ。こうした現代の書物の大部分は、今日のゆらめく反映にすぎない。→2024/01/07

踊る猫

29
カフカという作家は実によくわからない。奇天烈なイマジネーションを発散/噴出させた小説からはなかなか見えにくい「素の顔」があるように思う。このヤノーホによる仕事は、そんなカフカをずっと身近な存在(私たちにとっての「人生の達人」あるいは「教師」)のように見せる/魅せるところがある。今回読み返して、私は彼が何よりも言葉の力を信じていたことに気付かされる。だからこそ罵詈雑言を語る人間を一蹴し、言葉を粗末に扱う風習が長く続くことはないと信じ切ったのだろう。今、言葉は本当に粗末に扱われている。カフカならどう呟いたのか2023/01/01

Fumoh

3
この書物でわたしは「忍耐」という言葉の意味を学びました。カフカは何かを抑えつけるように、ひっそりとした声でヤノーホと話しました。カフカは、さまざまな書物や思想、音楽・芸術を経て、その背後にある人間精神の矛盾的性質を見破っていました。しかしそれをあげつらうのでなく、ただ「忍耐」することを、冷静な光でそれらを照らし続けることを、彼は選択したのでした。彼は思考を尽くして、その中から搾り取られた、とても貴重なエッセンスのみを、ぽつぽつと話しました。それらはパラドックス的で、いささか難渋ですが、2024/01/09

兵頭 浩佑

3
ヤノーホによる福音書。外典、偽典大いに結構。元よりこれは、幻想の神を書いた物語なのだから。したがって何が文字によって焼き付けられていたのか、常にそれこそが読者にとっての正典となり得るはずのものなのだ。2019/09/12

桜井晴也

3
「本は世界の代用となるものではない。」2009/06/22

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