内容説明
新井白石、荻生徂徠、頼山陽ら江戸時代の思想家たちは、日本の歴史そして同時代をどのように考えていたのだろうか。現にある体制を支えるはずの歴史思想が、いつしかそれを顛覆する思考に転化するダイナミズムはいかにして生じたのか。「歴史主義のデーモン」の活動は、いま二十世紀末にも始まっている。その始原を江戸時代に探った、サントリー学芸賞受賞のまぼろしの名著ここに復刊。
目次
歴史主義の毒
林家史学の功罪―『本朝通鑑』の成立をめぐって
新井白石の史論
古学派の歴史意識(山鹿素行;荻生徂徠)
水戸史学と『大日本史』―前期水戸学の歴史思惟
頼山陽と歴史的ロマン主義
国学と歴史的個体性
歴史思想と歴史意識の接点―後期水戸学の始発をめぐって
幕末の危機意識と歴史像
歴史意識のホリゾント