内容説明
双極性障害(双極症)は、統合失調症と並ぶ二大精神疾患である。患者は平均して三分の一から二分の一の期間を抑うつ症状とともに過ごすことや、さまざまな社会的なハンディキャップを背負ってしまうことなどが明らかにされ、きわめて重大な疾患であるとの認識が強まっている。再発のリスクが高いこの病気は、どういった性格を持ち、診断と治療はどのようになされるのか。臨床と研究の双方に携わる著者が、理解のための基礎知識を解説する。最新の研究成果や豊富なQ&Aを収めた第2版。
目次
第1部 対処と治療(なぜ躁うつ病は双極性障害となり、双極症に変わるのか;社会生活を妨げてしまう双極性障害;双極性障害の治療;症例;双極性障害とつき合うために)
第2部 Q&A(症状・経過・診断について;治療・社会復帰について;原因について;その他;年輪の会講演会から;年齢の会講演会での質疑応答から)
著者等紹介
加藤忠史[カトウタダフミ]
1963年東京生まれ。1988年東京大学医学部卒業。滋賀医科大学精神医学講座助手、東京大学医学部附属病院講師を経て、理化学研究所脳神経科学研究センター精神疾患動態研究チーム・チームリーダー。2018年より東京大学大学院医学系研究科連携教授を兼任。国内外において双極性障害の研究を牽引している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
68
Ⅰ型・Ⅱ型という分類ができたことは本書で初めて知った。読む限りではそのどちらかという診断はベテランの医師でも相当困難なはず。患者の症状を客観化して説明できる存在が必須のように思うからである。単身者は病状に翻弄されるだけという事態が予想されるため、大変な病気であることがよく理解できた。服薬に関しての注意点などが詳しく、患者の視点に立つ努力がなされている。病態を知りたくて読んだが、一日も早い精神医学の進歩を願う。2019/06/10
おいしゃん
26
治療や症例、病との付き合い方など、わかりやすくまとまっている。やはりうつ病のうつと、双極性障害のうつ状態は見分けにくい。2022/05/14
こぽぞう☆
22
やばっ!私はもう30年近く「うつ病」を患っていると思っていたら、どうやら双極性障害2型らしい。「難治性うつ病」と診断され長い人の多くは双極性障害らしい。で、元々は自閉スペクトラム症と多動性障害。最近、コンサータ(双極性障害には禁忌、うつには効く?自閉スペクトラム症と多動性障害には良薬)を初訪され、10日間ほど軽躁状態に陥った。たまってた仕事が片付いたのは良いけど、お金使うし、本読めないし。コンサータやめないまま落ち着いたので、このまま続けたいが主治医がどう判断するか?2019/11/04
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
21
【1回目】ほとんど内容を忘れている第一版であったが、第二半はとても興味深く読むことができた。この病気についての自分の理解が、少し進んでいるからかもしれない。いまの私に必要なことは、対人関係―社会リズム療法なのだろう。主治医にご助力をいただきながら、状況を改善していきたい。2019/10/01
まーさん
11
双極性障害、躁うつ病と呼ばれていたもの。双極性障害にはⅠ型、Ⅱ型がある。脳の病気であるが、ストレス対処も必要。「ストレスを予測する」:突然遭遇するよりもストレス軽減となる、「考え方を工夫する」:物事を前向きにとらえる。「認知行動療法」:過剰な一般化、すべてか無か思考、感情の合理化、心の先読み、~すべきだ思考、ラベリングをやめること等、参考になった。Q&Aでは加藤先生の人柄が出ていて、わかりやすい。2019/09/15