出版社内容情報
施行から70年が経とうとしている日本国憲法。改憲論議も巻き起こり、改めてそのあり方が問われている。憲法をめぐる白熱の対談集。
ちくま新書編集部[チクマシンショヘンシュウブ]
内容説明
いま、憲法は様々な視点から議論されている。すでに時代状況にあわなくなったから改正すべきという動きがある一方で、平和憲法としての価値をまもり通すべきという意見もある。日本国憲法はその成立過程を考えると、「戦争」とどうしても切り離すことはできない。また、「憲法」と「戦争」をつなぐものとして、天皇制も議論の俎上にあがっている。時代の節目に立たされている私たちがこれらの問題について考えるための対談を収録した一冊。
目次
第1章 憲法と歴史の交差点(山田風太郎の描いた幸徳秋水;君主制原理の矛盾 ほか)
第2章 戦後の憲法の役割(九条の会はいかにしてできたのか;自民党の系譜 ほか)
第3章 これからの「戦争と平和」(「戦争と平和」はどこが間違っているのか;「平和」と言いすぎると戦争になってしまう? ほか)
第4章 本当の天皇の話をしよう(意外な二人が天皇について話す;国体は生き残ったのか? ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
44
ジュンク堂池袋本店で昨年夏にあったトークイベントをまとめたもの。多彩な出演者の顔ぶれだけで面白そうですが、様々な論点を示してくれる中身も充実してます(見に行きたかったけどなぁ)。特に「憲法と歴史の交差点」を探る第1章と、これからの「戦争と平和」を考える第3章が読み応えあり。感じるのは、護憲派も、改憲派も、もっと柔軟な思考と客観的な視座で議論しなくては、分断は広がる一方だという点です。政治、経済、社会‥‥。いろんな意味でいま、日本は時代の分岐点にあるということも実感しました。2017/05/08
きいち
36
憲法をめぐる4つの対話。美濃部機関説の源をたどる加藤陽子×長谷部恭男の第一章と今上天皇の「どう象徴を生きればよいのか」という問いに見出した答えを「祈りという労働」と読み解く森達也×白井聡の第四章が共鳴。上野千鶴子×佐高信の第二章と、自衛隊をめぐる国民感情の矛盾を突く冨澤暉×伊勢崎賢治の第三章では、正直自衛隊を明文化するほうが平和への道と説く第三章側に軍配(とはいえ、本当に筋を通すほうがいいのかはまた別の問題、ズレてることのメリデメは冷徹にみないと)。◇いずれにせよ、考える素材をちゃんと提供してくれる一冊。2017/06/06
skunk_c
17
こういう対談ものは基本読まないのだが、パラパラと見てたら長谷部恭男に加藤陽子が突っ込むくだり(同僚だけど)が面白くて買ってしまった。長谷部=加藤は美濃部達吉を軸にした憲法と歴史に関する結構重厚な話題で面白かった。続く上野千鶴子=佐高信はネタはいいんだけど結局居酒屋談義的。むしろ冨澤暉=伊勢崎賢治の対談が極めて刺激的だった。護憲、特に9条擁護派が結局世界第4位の実力を持つ自衛隊を改憲せず容認していること、そしてその自衛隊がもし外敵が来た時に闘う行為は「交戦」以外の何物でもないという自己矛盾。厳しい指摘だ。2017/04/24
どら猫さとっち
9
憲法が施行されてから70年。いま、改正か守り続けるかで、大きく揺らいでいる。その憲法と戦争、そして天皇をめぐって語り合う4つの対談を収録。森達也×白井聡の天皇をめぐる対談は、とても興味深い。本書を通して、憲法や戦争、天皇はなんのためにあるのか、そしてあるべきこととは何かを、考えさせられる。いま読んでほしい一冊。2017/04/29
リョウ
7
憲法に関する対談4件。憲法制定の経緯や護憲の話、自衛隊の現実と言った現実的な話まで、偏ることなく集められていて、読んでいて興味深かった。2017/09/26