出版社内容情報
仏教最高の教典・法華経が、サンスクリット原典から全面改訳された。植木雅俊によるその画期的な翻訳の秘密に橋爪大三郎が迫り、ブッダ本来の教えを解き明かす。
内容説明
仏教最高の教典といわれる「法華経」。だが、その真意はあまり理解されていない。なぜなら鳩摩羅什による漢訳を、日本語に重訳したものが読まれてきたからだ。そこで登場したのが、植木雅俊による画期的なサンスクリット原典からの翻訳。その訳業で、仏教のほんとうの教えが明らかにされた。日本を代表する宗教社会学者・橋爪大三郎との対話の中で、ブッダ本来の教えとは何か、法華経の正しい読み方とはいかなるものかが次々と解き明かされる。全く新しい、最高の仏教入門書!
目次
法華経の基礎知識
法華経の構成
序品(第一)
方便品(第二)
譬喩品(第三)
信解品(第四)
薬草喩品(第五)
授記品(第六)
化城喩品(第七)
五百弟子受記品(第八)〔ほか〕
著者等紹介
橋爪大三郎[ハシズメダイサブロウ]
1948年生まれ。社会学者。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。東京工業大学名誉教授
植木雅俊[ウエキマサトシ]
1951年生まれ。仏教思想研究家。九州大学大学院理学研究科修士課程修了、東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。東方学院で中村元氏のもとでインド思想・仏教思想、サンスクリット語を学ぶ。人文科学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
43
全体の理解が論じられているのかと思いきや、テクストに沿っていた。途中で植木の訳した『サンスクリット版縮訳 法華経』と植木の『法華経とは何か』を購入し、対照、比較させながら読む。全くあたりが効かないが、救われたのは橋爪の問いが単純なことだ。法華経を新訳聖書と比較して、両者が似ていることを指摘する。橋爪が全く知らないはずがないだろう。開いた問いは、途中からでも入り易くするためだろう。3冊の中では、本書が最も読み易い。編集者の苦労と相まって、工夫された本だと思う。2023/02/08
禿童子
33
自分にとって南無妙法蓮華経はお題目というより正気を保つための呪文のようなもの。家の宗教が法華宗なのでもう少し理解を深めたいと思って、半分まで読んだが、新書にしては分厚いのでいったんストップ。二乗(阿羅漢)も三乗(菩薩)も成仏できる。女人も成仏できる。一仏乗の教えを説くのが法華経というところまでは理解した。法華経の経文信仰の自己回帰はまだよく分からない。2023/03/30
いろは
28
作品の帯には、「最高の仏教入門」と書かれているけれども、入門としてはかなり難しい。もう2ランクぐらい下げた内容の方が解りやすいと思う。「殺生について」の項目で、植木先生が、『ある子どもが「どうして人を殺しちゃいけないんですか?」と質問した。』と述べられていた。それに対する植木先生の回答が、「自分が嫌だから、他の人も嫌だろう。それで十分ではないかと。」だった。私はこの回答に納得がいかなかった。私なら、子どもには少し難しいけれど、こう答える。「国の人口が減少して、国として機能しなくなるから。」皆さんはどうか。2018/06/24
たばかる
25
ゼミ本。法華経の論理構造に注目した。鍵となるものはは自己否定をはらむことによる包括性。すべては方便であり、法華経の本質をつたえる手段であるというような切り口は、ほかの宗教を「支配的に」ではなく基盤そのものを「包括的に」取り入れる効果を持つ。法華経内部での論理進行も同様。ブッタの教えに通じることを説いたうしろで、法華経の教えを直接耳にせずとも体現して行動すればよいと示す。2023/03/15
かず
23
法華経をサンスクリット語原著から和訳された植木先生と、社会学者であり仏教にもお詳しい橋爪先生による5時間にも及ぶ対談を書籍化したもの。読みごたえあり。対談形式だからこそ生まれた言葉もあろう。植木先生の法華経への深い愛情が感じられる。私は浄土教を基盤に他宗の教えも学習しているが、同じ仏教、説く所は同じと思っている。法=宇宙の真理に自己を同化させ、その実現を果たせる人となることが仏教の目的、と思っている。つまり、仏になることであるのだから、読書で満足せず、日々の実践に努めていきたい。そう念じた次第である。2018/09/08