出版社内容情報
戦後史からみえる
この国の弱点
幼稚化した保守、アメリカと天皇、反知性主義の台頭、左右の迷走、日中衝突の末路……。戦後日本は一体どこまで堕ちていくのか? 安易な議論に与せず徹底討論。
内容説明
日本は破滅に向かっている。反知性主義は大衆のみならず、政治家にも蔓延し自分勝手な妄想に浸り、歴史を都合よく塗り替えようと必死である。一方、それを批判するリベラルは「戦後」に落とし前をつけることができず、壊滅的な状況が続いている。なぜ、日本は思考停止に陥ってしまったのか?なぜ「負け」を認めることができなかったのか?「天皇とアメリカ」「保守の劣化」「新たな日中戦争」「左右の沈没」など臆することなく徹底討論。
目次
第1章 日本の保守はいかに劣化しているのか
第2章 日本の砦アメリカと天皇
第3章 アジアで孤立する日本
第4章 右と左がどちらも軟弱になる理由
第5章 反知性主義の源流
第6章 独立という思想へ
著者等紹介
笠井潔[カサイキヨシ]
1948年生まれ。小説家・評論家
白井聡[シライサトシ]
1977年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。現在、文化学園大学助教。専門は政治学・社会思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
37
日本は破滅に向かっている(表紙見返し)。笠井氏曰く、アメリカの東アジアや日本への姿勢は変化してきているという(025頁)。白井先生曰く、 官僚機構のあり方が、永続敗戦レジームを惰性で続けていく傾向をつくりだしてしまっている(046頁)。笠井氏曰く、非正規の賃金が上がっている話は、少子化の若年労働者の現象の結果(054頁)。白井先生曰く、雇用の劣化・崩壊はワリを食った人に剥奪感をもたらす(146頁)。 2014/09/16
Miyoshi Hirotaka
31
「ベルサイユのばら」は王太子妃付きの近衛士官が、民衆に共感し、王権打倒の先頭に立つ劇的な話。史実では、絶対王政は打倒されたが、革命が過激化し、さらにナポレオンの登場で、国民国家体制が強化され、ヨーロッパの争いが世界中に波及する時代に突入した。国民国家の解体には大規模で過激な民衆運動が必要で、市民革命の継続と完成を目標とする理論。一方で、それに伴う人的損害には、無関心で過小評価している。王政を打倒し、歴史の断絶を生じさせた国に起きた悲劇に目を向けるべき。机上の理論を安易に引き継ぐとさらなる悲劇が繰返される。2019/03/31
ゆう。
25
僕にとっては、少々難しくもあり、納得できない部分も多くありという本でした。3.11を日本社会の失敗の帰結であり、証拠ではないかと問うことは簡単です。そして、日本の右派、左派を客観的に批評するのも簡単です。しかし、この本からは3.11からの反原発運動や戦争法に反対する運動など、市民の一人ひとりの中から拡がっているムーブメントを正しく捉えることができないのではないかと疑問を持ちました。ただ安倍政治などにみられる反知性主義の広がりは「そのとおり!」と思いました。結論としてはよくわからない本でした(^▽^;)2015/12/22
onasu
23
衆院解散で争点は、アベノミクスの是非だけのようになっているけど、基地問題、近隣国との関係とか問題は山積のはず。 今世紀の国家は、こうした問題への対処法を持ちうるのだろうか。まして、日本という国は…。 白井先生の前著「永続敗戦論」にもあった通り、日本は敗戦国であって、これまでは幸いにも、あまり意識せずにこれたけど、国際環境は変わっている。そこを弁えずの政策に有効性はないのだが、ここのところの振る舞いをみていると…。 半分以上は読んだだけ、ここに対処法を求めても…だけど、前半なんかは特に暗澹とした。2014/11/26
おおにし
16
お二人の著書「8・15と3・11」「永続敗戦論」を読んだ後だったので、ハイレベルな対談に何とかついていくことができた。対談の中で日中軍事衝突についてシュミレーションをして、対中戦争が勃発して敗けてしまった場合について議論しているところがあった。あまり考えたくないことだが、日中関係が悪化したときアメリカはどう動くのか朝鮮半島はどうなるのかなどについてリベラル派も真剣に議論すべき時だと思う。平和憲法を守ることも大切だがそれだけでは済まない現実がある。2015/08/30